後進へ道を譲るという思いはあるのだろうか。
「代表でスタメンではなく途中出場するという経験はしているので、控えという役割に抵抗はないですね。河村(勇輝)選手のように、自分の中で認められる選手がいるのであれば受け入れます。もちろん悔しいという気持ちは今も昔も変わらないですが。ただ、ロサンゼルス五輪を考えたとき、仮にそのころまだ僕が代表にいたとしたら、日本のバスケ大丈夫かなって思う気がします(笑)」
実力、立ち位置は自分が一番よくわかっている。「まだまだリーグの一番の選手としてやっていきたいし、やらなきゃいけないとも思っている」。さらりと言ってのける富樫は、やっぱりリーグの顔だ。
1月18、19日にはオールスターが開かれる。富樫は過去最多得票となる57万1416票を集め、9大会連続9回目の選出だ。
ガチの試合を見せたい
「僕だけじゃなく、全体を通して年々票数が増えているので、バスケ熱の高まりを感じていますし、その中での一番はシンプルにうれしい。ただ、オールスターって難しいんです(笑)。怪我は避けなきゃいけないからガチすぎてもだめだし、かといってダラダラするのも違う。シーズンで一番難しい試合かも(笑)」
そうおどけながらも、見どころをこう語ってくれた。
「普段は違うチームでプレーする選手が一堂に会して、お祭りのような雰囲気の中で見せるスーパープレー、ですかね。僕もインパクトのあるプレーを残したいなと思いますし、個人的にはガチの試合を見せたいなと思っています」
ガチの試合にこそバスケットボールの魅力が詰まっている。日本バスケの未来を思う富樫だからこその言葉だろう。
「Bリーグが、プロ野球とJリーグにもっともっと近づいていけるように、選手もチームも全体で盛り上げていきたい」
日本でバスケがメジャースポーツに立つ未来はそう遠くないはずだ。(写真・蜷川実花、編集部・秦正理)
※AERA 2025年1月20日号より抜粋