――黒田さんが作・演出を務める舞台「いつの日か、また会おう!」が12月3日から四ツ谷で公演されています。見どころを教えてください
ジョン万次郎が14歳で無人島を漂流したまま帰ってこないので、友達が探しに行くというストーリーです。本当は4歳の息子にこの作品を見せたくて作ったんです。芝居に興味を持ち始めていたので、「世界は広いぞ!」とスケールの大きさを味わってほしかった。ただ、離婚して会えなくなって……。当初は今年4月の公演予定だったんですけど、気持ちが一度折れてしまった。
でも、この作品を楽しみにしていた友達や芝居仲間に恩返しをしたかったし、この作品を形にしないと次に進めないと思って。「いつの日か、また会おう!」は息子に向けたメッセージでもあります。構想段階からこのタイトルは決まっていて、現在の状況と偶然重なったんですけどね。
野田秀樹さんが、山本洋次さんが!
――息子さんに見てほしくて作った舞台だったんですね。俳優業のほかに、舞台や映画作りに没頭する理由を教えてください
好奇心に尽きますね。おもしろいものを作りたいと思うから、歯を食いしばって頑張れる。お芝居を作ることは必ずしも苦しいことじゃないし、いろいろなスタンスの方がいますけど、僕は「おもしろさの奴隷」なので、おもしろいことを突き詰めて苦しみます(笑)。あとは一緒にお仕事をさせていただいた方の影響も多いですね。
(劇作家の)野田秀樹さんが「ここは宇宙だって言えば、宇宙が舞台になるのが素晴らしい」とおっしゃっていたのが強烈でしたし、(映画監督の)山田洋次さんが新幹線に向かって「速い!」と怒ったり、夕日に向かって「まだ沈むな!」と叫んだりしていた現場に居合わせていたので(笑)。自分もこんな素晴らしい世界に行きたいなと。高校の進路相談で「映画監督になりたい」と話していました。私生活はクズですけど、芸事はお世話になった人たちから受けた教えを汚さないように、細部にこだわることを意識しています。