「費用面や身体面など散骨委託の理由は人それぞれ。でも弔う方法は違っても、大切な方を見送るという点は共通している。散骨は委託するけれど、粉骨やお見送りには立ち会いたいというケースは少なくありません」(代表の赤羽真聡さん)

不安を安心に変える

「きたよ。」は、お墓掃除とお墓参りの代行サービスだ。始めて丸4年が過ぎた。

 事業の立ち上げから関わっている奥野孝平さんは、墓参りという内容ゆえに、利用者の心理的ハードルをどう乗り越えるかが難しかったと話す。「代行ではあってもご自身が行うのと変わらない気持ちで」という意味から当初は「お墓参りサポート」としていたが、これでは言葉の馴染みがなさすぎる。「お墓参りを他人にしてもらうのは抵抗がある。でもお墓掃除だけなら」という人もいる。

「一般的にサービスは期待を大満足に変えるもの。一方、このサービスに最初、期待はない。あるのは不安だけ。それを安心に変えるのです」(奥野さん)

 主な層は60~70代。距離や時間、立地条件で墓に行くことを諦めていた人から依頼が来る。テレビショッピングの番組に出演した時は、1回の放送で200件もの問い合わせがあり、そのうち8割が携帯電話を持っていない、持っていてもメールもLINEもやっていない、「代行業というサービスがあるなんて想像もしていなかった」という高齢者だった。

「説明しづらい場所にお墓があることも。1時間近く電話をしたり、何往復も手紙をやり取りし情報を収集する。1千件以上対応していますが、一度も場所を特定できなかったことはありません。これらの積み重ねで信頼関係が築かれ、継続的にご利用くださっているお客様が3~4割いらっしゃいます」

(ライター・羽根田真智)

AERA 2025年1月13日号より抜粋

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼