海洋散骨の「ブルーオーシャンセレモニー」では代行散骨も行っている。散骨を終えた後に花をまく(写真:ブルーオーシャンセレモニー提供)
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 散骨やお墓掃除といった他人に頼むには抵抗がある「代行サービス」が広がりを見せている。どのような人がサービスを必要としているのか。AERA 2025年1月13日号より。

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「『船が来たね』『今、撒いているね』『帰っていったね』と、ずっと見ていました」

 東京都在住の男性(57)は昨年1月、代行委託プランを利用し、父親の遺骨の海洋散骨を行った。その日は福島県から上京した5歳年上の姉、男性、妻の3人で晴海埠頭から出港する船を見送った後すぐに車に乗り、羽田空港第2ターミナルの展望デッキへ移動。「羽田沖のあの辺りで散骨するだろう」と見当をつけていた場所を、スマートフォンのカメラのズーム機能を使って最初から最後まで見守った。極寒の季節の上、展望デッキは風が強い。しかし誰も「寒いし、もうやめようか」とは言い出さなかった。

 父親が亡くなったのは2022年12月。生前の希望に従い神葬祭だったため墓はない。一周忌で家族が集まった時に改めて「お骨をどうする?」となり、いくつかの案から母親が選んだのが海洋散骨だった。

「代行にした理由は、完全に費用です」

コロナ禍で代行増加

 ただ、何もかもを任せるのはちょっと違う。男性は福島から東京へ、お骨を自ら持ち帰り、遺骨を細かくパウダー状にする粉骨には妻と立ち会った。粉骨を行うスペースとはガラス窓で仕切られてはいるものの、一部始終が見えた。

 93歳で亡くなった父親は170センチに満たない小柄な体形。しかし骨がしっかりしていて、量も「通常の2倍」と言われるほどだった。

「ここまでやったんだから、と思ったんです。お袋も『こういうのがいい』と言っていたから同じ形を取るかもしれない。きょうだい3人、子どもがいるのは姉だけ。僕たちが死んだ後のことを、甥が一人で担うのは大変です。こういった代行サービスがあるのは、僕たちのような家族にはありがたいですね」

 この男性が代行散骨を依頼した「ブルーオーシャンセレモニー」は、海洋散骨がほとんど知られていなかった07年に創業。当時から代行散骨も行っている。コロナ禍もあり代行散骨の割合が増加。19年には154件だったのが、23年には350件になり、散骨全体に占める割合は25%から40%に増えた。

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