詰将棋を解く藤井聡太七段(当時。左から3人目)=2019年4月14日、名古屋市中区(写真/朝日新聞社)
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 注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2025年1月13日号より。

【貴重写真】和服じゃない!スマホ片手にデニム姿の藤井聡太さん

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 2024年12月15日。「SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦」決勝戦が東京都渋谷区・明治神宮会館でおこなわれた。結果は西軍5勝、東軍1勝。藤井聡太七冠-伊藤匠叡王戦は伊藤が勝ち、藤井が西軍唯一の敗者となった。

「私だけ取り残されてしまったような、寂しい気持ちもあるんですけれど」(藤井)

 対局合間のトークショーでは「来年やりたいこと」というテーマが出された。最近、詰将棋作品によく触れ、その面白さを感じるようになったという伊藤の回答は詰将棋解答選手権出場。それを受けての藤井の回答も同じだった。

「伊藤叡王の解答選手権優勝をちょっと阻止したいなと思いまして」(藤井)

 藤井は指(さし)将棋だけでなく、詰将棋解答者としても絶対王者だ。2015年3月、当時小6で奨励会二段だった藤井は、解答選手権で名だたる強豪を抑えて優勝。以後、驚異の5連覇を果たしている。20年から23年まではコロナ禍の影響で大会中止。24年に久々に開催されたが、藤井は王将戦七番勝負第7局と日程がかぶり、菅井竜也八段の挑戦を4連勝のストレートで退けたものの、多忙のため、解答選手権には参加できなかった。もし今年、そちらでも藤井-伊藤戦が実現すれば、大いに盛り上がるだろう。

「私が阻止できる可能性もあるんですよ」と語っていたのは永瀬拓矢九段。永瀬は王将戦七番勝負で藤井に挑戦する立場だ。25年の解答選手権は3月30日に予定されていて、今回も王将戦第7局とかぶっている。藤井-永瀬の王将戦がフルセットに持ち込まれれば、藤井の解答選手権参加、優勝の可能性もなくなる。

 25年の将棋界の大きな見どころは藤井の八冠再制覇なるか、伊藤や永瀬らが止めるのかどうか。そして詰将棋解答選手権にも注目したい。(ライター・松本博文)

AERA 2025年1月13日号

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