箱根を走りたくて関東の難関校へ
陸上仲間には、兵庫県出身で同じ東大に通う秋吉拓真さん(21)をはじめ、箱根を走りたくて関東の難関校を選んだ学生がいる。
「今後、もし連合チームが編成されなくなれば、高校生の進路選びにも影響してくるでしょう」
古川さんは箱根で走れるかわからないという不安をずっと抱えてきた。「地に足がついていない」と感じることもあったが、周囲の環境に恵まれていたこともあって日々の練習を継続できたという。
東大OBで、19年の箱根駅伝の連合チームで1区を走った近藤秀一さん(29)も、支えてくれた一人だ。
「彼は私の同期で、実業団でも走った実績のあるランナーです。コーチとして東大陸上運動部に入ってくれて、練習メニューなどをしっかり管理してくれる」
同部の仲間たちとの競い合いも励みになった。特に「東大史上最速ランナー」といわれる後輩の秋吉さんは「すぐ目の前にある目標」だったと語る。
「秋吉君と日々、一緒に練習することで、高いモチベーションを保てました」
悔いを残さず次のステージへ
昨年10月19日に開かれた予選会のハーフマラソンは、個人60位でフィニッシュした。
「連合チームのメンバー入りを果たし、チーム内でも5位の成績だったので、及第点はとれたと思います」
12月上旬には16キロの最終選考レースを兼ねた合宿が千葉県・富津公園で行われ、古川さんは箱根出走圏内の走りができたという。あとは、体調管理に気をつけながら、レース本番を待つだけだ。
春からは京都工芸繊維大学の博士研究員になる。研究テーマは「ランナーの集団形成メカニズムの解明」。
「箱根駅伝は十数年間打ち込んできた長距離ランナーとしての集大成。悔いを残さず、次のステージに進みたい」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)