15万円を請求されたケースも

 被害のパターンは、冒頭で紹介した男性のケースと「ほぼ同じ」(高村さん)だが、請求金額はまちまちだ。

「請求金額は10万円前後が多く、なかには15万円を請求されたケースもあります」(同)

 相談者の多くはマンションやアパートに暮らす独身者で、特に東京都ではトラブル件数の増加が顕著だ。2022年度は132件、23年度は225件。今年度は9月末時点で281件と、半年で前年度の件数を上回った。

「格安」うたう業者が目立つように

 高村さんはこう話す。

「昨年あたりから、具体的な出張費や作業費をサイトに表示せず、『格安』をうたう開錠業者が目立つようになってきました。それが原因ではないでしょうか」

 悪質業者は、「かぎ 紛失」「開錠」などのワードで検索すると、上位に表示される「リスティング(検索連動型)広告」と呼ばれる手法を駆使している。被害者は「検索して1番上か、2番目に表示された業者に依頼するケースがほとんど」だという。

 予想外の高額請求に不満を持ったとしても、深夜、家の外で作業員と金額の交渉をするのは不安もあれば、近所の目もあり、気が引ける。女性の場合は、なおさらだ。結局、金を支払ってしまうという。

「クーリングオフ」がきく

 こうしたトラブルを避けるには「ネットで見つけた開錠業者には依頼しないこと」(同)が最も大切だという。

 では、どうすればよいのか。

 かぎのトップシェアメーカー、美和ロックは「(業者による)開錠自体お勧めしない」。マスターキーでドアを開けてもらうのが推奨される解決策ということになる。

「アパートやマンションの場合、大家や管理会社がマスターキーを持っています。ビジネスホテルやファミレスなど安全な場所で夜を明かし、朝になったら管理人に連絡してかぎを開けてもらうほうがよいと考えています」(高村さん、以下同)

 どんな業者に依頼しても、開錠には数万円の費用がかかる。「ネットに表示されている3000~5000円でかぎを開けてもらえることは絶対にありません」。ビジネスホテルに泊まって一晩しのいだほうが経済的というわけだ。

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