FAでソフトバンクから巨人への移籍が決まった甲斐拓也
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 ストーブリーグも後半戦に入ってきたプロ野球。各球団の来季の陣容も見えつつあるが、果たして有効な補強を見せている球団はどこになるのだろうか。ここまでの動向から探ってみたいと思う。(文中の年俸はすべて推定)

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 まずこのオフの主役と言える動きを見せているのが巨人だ。中日を自由契約となったライデル・マルティネスをDeNAとの争奪戦の末に獲得。その条件は同じクローザーのオスナ(ソフトバンク)よりも上で、4年総額約49億円とも言われている。

 さらに17日にはフリーエージェント(FA)となっていた甲斐拓也(前ソフトバンク)の獲得も発表。こちらも4年総額15億円規模の大型契約と報道されており、巨人の本気度が古巣のソフトバンクを上回ったと見られる。また楽天から自由契約となっていた田中将大についても17日時点で正式発表はないが、基本合意したと報じられており、実績のある3人の選手の獲得に成功したのだ。

 今シーズンは4年ぶりのリーグ優勝を果たしながらもクライマックスシリーズでDeNAに敗れて日本シリーズ進出を逃し、さらにシーズンMVPに輝いた菅野智之がメジャーに移籍したこともあって、なりふり構わず補強に動いた印象を受ける。ただ補強ポイントにマッチしていたかというと疑問が残るのは確かだ。マルティネスの加入でブルペンがより強力になったことは間違いないが、他にもバルドナード、ケラーも残留したことで外国人リリーフ投手は3人となった。

 菅野が抜けた先発や、岡本和真以外の強打者が不足している野手のことを考えると、一軍の外国人枠4人のうち3人をリリーフが占めるというのはバランスを欠いているように見える。またキャッチャーについてもこのオフにFA権を取得した大城卓三が複数年契約を結んで残留し、二番手捕手の岸田行倫も今年は大きく成績を伸ばしているだけに、甲斐の必要性がそこまで高かったかは疑問だ。リリーフから誰かを先発に回し、打力の大城はファーストでの出場を増やすなど、あらゆる選択肢を検討しながら起用法を模索していく必要がありそうだ。

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派手さはないが“着実”に戦力アップしたのは?