本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

【鴻上さんの答え】

 魔法瓶さん。大変でしたね。でも、泣き寝入りせず、「削除依頼」や「情報開示」を求め、警察や弁護士さんに相談したのは、本当に大変だったでしょうが、よかったと思います。

 ネットの中傷や誹謗に対しては、毅然たる態度がますます必要になってくるでしょうから、魔法瓶さんがやられたことは、とても大切なことだと思います。

 さて、魔法瓶さん。

「今私に出来ることはあるでしょうか?鴻上さんだったらどうされますか?」と書かれていますが、僕が魔法瓶さんだとしても、申し訳ないのですが、これ以上できる有効な対策は思い浮かびません。

 魔法瓶さんがやられたことは、誹謗中傷に対してのお手本のような行動だと思います。

「一旦ブログは削除され収まっている」ということは、誹謗中傷した人(仮にAさんとしますか)は、削除することに納得したということでしょうか。

「精神疾患の患者さん」ということですが、Aさんは納得しないまま、ブログ会社が判断して削除したということでしょうか。それとも、一応、Aさんは納得して削除したのでしょうか。

 それによっても、これから先、またAさんが誹謗中傷するかどうかの度合いは変わってくると思います。

 また、「ブログの運営会社にその記事の削除依頼」をしたということですが、Aさんは、個人ブログに書き込んだんですか?

 それとも、XやFacebookでしょうか。

 プラットフォームが何かによっても、ネット上の拡散の度合いは変わってくるでしょう。

 魔法瓶さんは、どういう経緯で自分のことが書かれていると知ったのでしょうか。

 今、僕が考えるギリギリできることは、Aさんが新たな書き込みをしないか、定期的にブログをチェックすることだけです。

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