けれど、いつもあたしを人間でいさせてくれたのは、息子の存在だった。それとあたしを愛してくれるパートナーと、友人たちがいるからだ。
息子の母であるあたしは、少しでも綺麗(きれい)な存在でありたいと願う。あたしを愛してくれる人たちにとって、愛するに値する自分でありたいと願う。なにより、愛されつづけたい。
こんなことを書いても、超少子高齢化の歯止めにはならないだろうが、親になることを迷っている人の背中を押したい。もちろん、物質的な問題は、政治が支えろともいいつづける。赤ちゃん、それは幸せの象徴。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2023年1月20日号