アレンジする生徒が目立った 

 千葉市内の中高で、ツーブロック禁止の流れが広まったのは2010年代のこと。男性のダンス&ボーカルグループが大人気だった時代だ。

 このグループには、刈り上げた部分に線を入れるなど、奇抜でワイルドなツーブロックのメンバーがいた。その格好良さから、同じようなツーブロックにしたがる若者が一気に増えた。

 担当者は当時を振り返る。

「躍動感あるパフォーマンスや力強い姿に、男子生徒たちも純粋に憧れたのでしょう」

 担当者は「髪型が派手だと感じるから、奇抜に感じるからといってその生徒に問題があるということでは決してありません」と強調しつつ、説明を続ける。

入試の面接で不利益を被らないように

 全国的に「ブラック校則」見直しの動きが広がり始めたのは、NPO法人の代表らが「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」を発足し、文部科学省へ6万人を超える署名を提出した2019年ごろからと言われているが、担当者の話は、それ以前の時代。当時、市内の中学生が進学する高校の多くに、髪型や服装に関する校則や規定があったという。

「中学校では、生徒たちが高校入試の面接などの際に不利益を被らないように指導する形をとっていました。入試の時だけ見た目を変えたらいいということではなく、中学の3年間をどのように過ごした生徒であったかが問われるよ、という点を重視していたのです」(担当者)

 つまりは、生徒たちが勉強に専念することができ、高校進学の差し障りとならないようにするための「ツーブロック禁止」だったようだ。

さわやかツーブロックが主流に

 だが、時代は変わる。ブラック校則の見直しに向けた動きが全国各地の学校で進み始めた。

 ツーブロックも、かつての憧れだった奇抜でワイルドなものから、慶応高野球部に象徴されるような、さわやかなイメージのツーブロックが定着していった。

 今の時代の校則は、生徒が有無を言えぬトップダウン型ではない。生徒たちが主体で、クラスや生徒会で意見を出し合い、生徒総会で意見を集約し、改廃を決めている学校が大半だという。禁止した方がいい髪型や服装も、生徒の声が反映される形だ。千葉市でも、時代の流れの中で、一気に「ツーブロック禁止」の廃止が進んだ。

「校則を緩めたというより、ツーブロックという通称を指導のために用いる必要がなくなったから校則が見直されていった、という見方が実態を捉えていると思います。例えばモヒカン禁止やリーゼント禁止の校則があっても、生徒にとっては『それって何?』という話ですよね」(担当者)

次のページ
校則「再規制」は起こりうるか