
全国の中学・高校で、両サイドなどを刈り上げる髪型「ツーブロック」を禁止した校則を廃止する動きが進んでいる。さわやかな印象すらあるツーブロックが、なぜ目の敵にされてきたのか。教育現場を取材すると、背景には今とは違う意外な事情があったようだ。
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「ツーブロック」禁止は千葉市は1校のみ
全国各地で改廃が進むツーブロック禁止の校則。その自治体のひとつ、千葉市では、2020年時点で市立の中学・高校全57校のうち38校がツーブロックを禁止としていた。だが、市教委によると、今年度には禁止は中学1校のみに激減した。
ツーブロックとは、両サイドなどをバリカンで短く刈り上げ、上の部分は長めに仕上げる髪型。国内では1990年代から流行り出したとされている。
近年は社会人や学生に定番の髪型になった。さらには、丸刈りが一般的だった高校野球にも影響を与えている。2023年夏の甲子園を制覇した慶応義塾高校(神奈川)にツーブロックの選手がいて、さわやかな姿が「球児のイメージを変えた」などと話題になった。
もはや市民権を得たかに見えるツーブロックだが、なぜ校則で禁ずるほど、教育現場で目の敵にされたのか。
禁止の意味がわからない
「横と後ろ(襟足)をバリカンで短く整えているので、派手な色に染めたりしなければ、学生らしいと髪型だと思う。本当に文句を言う人がいるんですか? どこが不満なんですか?」(千葉市内の中3男子)
「(ツーブロックは)似合わなさそうだから、まだやったことがないです。人によってはけっこう勇気がいる髪型だと思うんですけど、それをわざわざ校則で禁止って意味がわかりません」(千葉市内の高1男子)
当の学生たちからも、素直な疑問が口をつく。
派手過ぎる髪型に対して
だが、教育現場に取材をしてみると、背景には、今とは違った意外な事情があったようだ。
「ひとえにツーブロックと言っても、多様な髪形を類型する『通称』に過ぎず、これがツーブロックでこれは違う、というような明確な定義は教育現場にもありませんでした。派手過ぎる極端な髪型にする生徒に対して、指導の足並みがそろうよう校則の中に定めていった禁止事項の一つだと理解しています」
そう話すのは千葉市教委の担当者の男性だ。明確な定義がないのにルールとして禁止するとは、一体どういうことか。