先代の頃から公式サイトは存在しており、申し訳程度に通販で商品を購入できるようにはなっていました。しかし、古びたデザインや、購入ページまでなかなかたどり着けない導線のわかりにくさなどが目立ち、お世辞にも購買意欲が掻き立てられるようなつくりとは言えませんでした。

 そもそも元祖 鯱もなか本店の売上の7割は駅や空港などの「お土産需要」であり、残りの3割はほぼ大須にある本店での販売分。ネット通販の売上はほとんどありませんでした。裏を返せば、一番の伸びしろはオンライン販売だということです。

 まずはサイトの訪問者に、「感じのいいページだな」と思ってもらい、長い時間滞在してもらえるようにしなければなりません。

 老舗らしい格調を保ちつつも、現代に通じるような普遍的なイメージ、そして親しみやすい雰囲気をリクエスト。お客様視点で見て、文字や画像に違和感がないことも重要なポイントです。せっかくサイトを訪れてくれても、ほんの少しの違和感やモヤモヤが離脱に繋がります。スマホで見られることが多いため、スマホ画面での表示も念入りにチェックしました。
 

購入を後押しする導線設計

 ホームページをリニューアルしてECサイトのデザインが確立したら、次は購入導線の設計です。サイトを訪れたお客様に対して「これを買おう!」という、価格的にちょうどいい〝入口商品〞を置いておくことが有効だと考えました。

 その頃の「鯱もなか」は、まだほとんどの方が知らない存在でしたが、看板商品なので何を置いても「鯱もなか」を買ってほしい。 とはいえ、つぶあんが苦手、あんこが苦手という方がいらっしゃることも事実です。じつは、「鯱もなかのあんこなら食べられる」という声をたくさんいただいています。それにはまず、一度食べていただかないと始まりません。

 そこで、「鯱もなか」と焼き菓子など洋テイストの商品を詰め合わせたお試しセットを作ることにしました。その名も「鯱セット」。鯱もなか2個・鯱フレンド(フィナンシェ)2個・鯱サブレー3個・金鯱フルーツケーキ1個を詰め合わせました。

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