敗れた稲村和美氏は「何と向かい合っていたのかと違和感があった」と語った

「ネットの影響力、想像していなかった」

 一方で、県知事選序盤では優勢と伝えられていたが、斎藤氏に敗れた前尼崎市長の稲村和美氏は、選挙戦の終盤になって、演説でネットに触れることが増えた。

「今回、こんなにネットが影響力をもつと私は想像してませんでした。ネットの中で情報を取られる方がすごくたくさんいらっしゃることを改めて実感しました」

 ネットでは稲村氏に関するデマや中傷めいた投稿も多くあった。稲村陣営では、その打ち消しに追われたという。

 斎藤氏を“推し活”している2人組の女性に、ネットには間違った情報も流れていることについて聞くと、こう話した。

「斎藤さんのパワハラがゼロとは思わないが、謝っている。マスコミで叩かれるほど悪いのかと思う。SNSでフェイクも出ているが、石丸さんを推して、ある程度、見分けることができるようになった。相手(稲村さん)をバッシングして、ビュー稼ぎの人もいるが、あんなことをすれば斎藤さんが背後にいるというデマが拡散しかねないのでダメです」

斎藤氏と石丸氏で新党構想も

 勝利に沸く斎藤氏の陣営で、
「流れに乗って斎藤新党結成という動きもある」
 という話を聞いた。

 前回の知事選で支援した自民党、維新ともに、県議会で斎藤氏の不信任決議に賛成した。斎藤氏がこれから県政運営をしていくなかで、県議会に基盤がないこともあってだという。

 衆院選、知事選と負けが続く、維新の吉村洋文知事もこ斎藤氏の「斎藤新党」に注目しているとの情報がある。

 新党といえば、すでにその動きを見せているのが石丸氏だ。藤川氏が言う。

「石丸君が最近、うちの事務所にやってきて、新党構想のことを話した。今回の斎藤氏の当選は石丸方式によるものだ。石丸君に『君がやったことがすべてのはじまりだ』というと、これまであまり興味なさそうだった斎藤氏の躍進に、『そうなんですか。それは楽しみだ。しっかりと研究する』と言っていた。石丸君も斎藤氏も、自民党などとは一線を画してやるという方向性は同じでしょう。2人を結び付け、石丸斎藤新党こそ日本の政治に新たな流れを作れると思っている」

 SNSを使った快進撃は、「新党」という、また新たな展開につながっていくのだろうか。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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