「安全保障のパワーバランスの観点から核兵器は必要だと『なくせない理由』はいくらでも出てきました。だけど、これだったら核兵器を許せるという答えが自分の中で出てきませんでした。核兵器が『あっていい理由』がどうしても出てきませんでした」
だが、なくせないからと言ってなくさなくていいものではない、なくさなければいけないものはなくすべきだ。2021年5月、大学3年の時、仲間と「KNOW NUKES TOKYO」を設立。政治家へのロビイングや平和活動、イベントなどを企画運営した。そうした中、今のままでは被爆の記憶が継承できないというもどかしさを覚え、SNS世代に核兵器に関心を持ってもらうため考案したのが「KNOW NUKES」だった。専門家の協力も得ながらキノコ雲の形などビジュアルにこだわり、1年近くかけてつくった。
今年9月に大学を卒業し、今は来年の被爆80年に向けた企画に取り組む。核の脅威を日常的に覚えておくのは難しい。だが、忘れると大惨事になる。核の脅威を風化させないのが自分の役割と、語る。
「すごいイキってる若者かもしれません(笑)。でも、核の脅威にさらされながら生きていくのは嫌だという拒否感がありますし、いまウクライナや中東で起きている戦争を見ると私が取り組む活動と地続きの気がします」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年11月25日号より抜粋