東京・大手町で開催された「第22回東京コインショー」は大賑わい=米倉昭仁撮影
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 最近、希少な貨幣・紙幣をコレクションする子どもたちが増えている。子どものころに始めたコイン収集の趣味が高じて、資産を増やす人もいる。

【写真】20銭に一分銀、一円札…投資になるのはあの金貨!

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東京コインショーに子どもたち

 11月上旬、土曜日の朝。東京駅に近い大手町のビジネス街。中高年の男性に交じって、子どもたちが次々に大きなビルに入っていく。

 目指すのは「第22回東京コインショー」。古今東西の貨幣や紙幣の展示即売会で、日本貨幣商協同組合に加盟する37社が出店した。

 午前10時の開場前に訪れると、すでに会場を長い列が取り巻いていた。お目当ては各社のブースに用意された500円の「ワンコインお楽しみ袋(通称:福袋)」で、開場とほぼ同時に売り切れた。

 子どもたちに福袋の中身を見せてもらった。

 横浜市から来たという中学1年生の男の子が白い封筒からそっと取り出したのは古い紙幣。記者にはいつのものかわからなかった。

「大正から昭和にかけて発行された1円札です」(中学1年生)

明治に発行された「20銭銀貨」を手に取る小学生=米倉昭仁撮影

「ぼくは小学生だから」

 赤いリュックサックを背負った小学2年生の男の子は父親、姉といっしょに来たという。

「今日は『一朱銀』を買いたい」(小学2年生)

 江戸後期に流通した短冊形の銀貨で、「2000円くらいなので、小学生でも買える」(同)と言う。

 福袋も手に入れたが、開ける楽しみは「家に帰るまでとっておく」(同)。

 そのとなりではショーケースの上で小学5年生の男の子が銀色のコインを手に取り、じっくりと眺めていた。明治に発行された「20銭銀貨」だという。

「いくつかお店をまわって、安いなって感じたら、これも買おうと思います。でも、一番のお目当ては『一分銀』です。1500円くらい。ぼくは小学生だからこれくらいしか買えない」(小学5年生)

江戸、明治の貨幣。「一分銀」「一朱銀」が見える=米倉昭仁撮影

「貨幣系ユーチューバー」の存在

 なぜ、子どもたちがコインショーに集まっているのか。

 日本貨幣商協同組合の寺田実副理事長はこう話す。

「ユーチューブで福袋の中身を披露する人がいて、福袋の存在が小中学生の間で知られるようになりました」

 たとえば、貨幣系のユーチューバー「みんみん」さん(「みんみんコイン」チャンネル登録者数11.8万人、11月15日現在)は9日に「第22回東京コインショーで古銭爆買いしてみた!」という動画をアップしていた。

古い「1円札」を見せてくれる中学生=米倉昭仁撮影
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子どもたちがレアコインにハマるもう一つのきっかけとは