「第22回東京コインショー」に出店した「コレクションハウス」(千葉市)の林和実代表取締役=米倉昭仁撮影

「博士ちゃん」の存在が後押し

 もう一つ、寺田さんが挙げた理由が、テレビ朝日系の番組「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」だ。

 特定分野に詳しい「博士ちゃん」と呼ばれる子どもたちが、昆虫や恐竜、鉄道など、さまざまなトピックを熱く語る。たびたび登場する須戸達哉くん(13)は古銭から現代のお金までを研究し、コレクションする「お金博士ちゃん」。

「子どもが語るお金のうんちくに、サンドウィッチマンが『こりゃすごいよ』と言って盛り上がる。そんな背景があって、お金に興味を持つ子どもたちが5、6年前から増えた」(寺田さん)

福袋は「勧められるもの」を入れている

 同組合の専務理事で「コレクションハウス」(千葉市)の林和実代表取締役も「子どもたちが大勢来てくれてうれしい」と、目を細める。

「うちの店では、通常2000円、3000円の価値のあるものを福袋に入れています。特にお子さんには、『コイン収集を始めるなら、まずこれを買うといい』と、勧められるものを用意しています」

 マニアックな貨幣を集めている子どもたちの知識は大人顔負け。子どもも大人もいっしょに、熱心に貨幣を手に取ったり、眺めたりする様子がほほえましい。

「みゃくみゃく」がデザインされた2025年日本国際博覧会記念貨幣(第二次発行)=米倉昭仁撮影

大人はギザ十や記念貨幣

 大人の場合は、一般に流通している「現行貨幣」から収集を始める人が多いという。

 たとえば、硬貨の縁に細かい溝が彫られた10円玉、「ギザ十」は1951(昭和26)年から7年間しか製造されなかったため、身近なコレクションアイテムだ。未使用品の場合、額面を大きく上回る1万円以上で取引されるという。

 国家的記念事業として発行される「記念貨幣」も人気だ。

 来年の大阪・関西万博の記念貨幣は開催までに3回の発行を予定しており、すでに1000円銀貨が2度発行された。第2次発行の銀貨の表には公式キャラクター「ミャクミャク」などのデザインがあしらわれ、販売価格は税込み1万3800円。発行枚数は5万枚で、造幣局が申し込みを受け付け、応募多数により抽選になった。倍率は4.15倍。

 万博の前売り券の販売枚数は、開幕約半年前の10月9日時点で約714万枚で、目標の1400万枚の約半分と考えると、記念貨幣の人気ぶりがうかがえる。

「記念貨幣の抽選に当たらなくて、どうしてもほしい人が、われわれの店に買いにくるのです」(林さん)

 現在、第2次発行の銀貨は売り出し価格の約2倍で販売されている。市場在庫が品薄になれば、さらに値上がりするという。

 来春以降には3回目の万博記念貨幣の発行が予定されており、1万円金貨(発行枚数3万枚、販売価格26万8000円〈税込み〉)、1000円銀貨(同5万枚、同1万5200円)、500円貨幣(同232.8万枚、取り扱い金融機関にて額面価格での引き換えなど)の3種類だ。

東京オリンピック記念1000円銀貨幣と100円銀貨幣(1964年発行)=米倉昭仁撮影
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いつの間にか資産になっていた金貨はやっぱり