この時点からもう「通勤災害」は認められない
この時点からもう「通勤災害」は認められない

「社会保険料ってなんでこんなに高いの?」
「安くできる方法ってないの?」
「どんな時に、どんな給付がもらえるの?」
「細かい話はいいから、重要なことだけ知りたい!」

 そんな社会保険にまつわる素朴な疑問や不満を、ストーリー形式で解決していく本連載。

今回は、会社の行き・帰りでケガをした場合の給付に関する基礎知識を、さらっとお伝えします。

(書籍『いちばんわかる!?トクする!?社会保険の教科書』より抜粋)

●法律上の「通勤」の範囲とは?

佐藤さん:前回のレクチャーでは、昼休みにジョギングして骨折っても労災がおりないと聞いてちょっとガッカリしました。でも仕事中のトイレとか出張集のケガは認められるんですね。これからは、トイレはできるだけ仕事中に行くことにして、昼休みはガマンしよう!

田中社長:ほっといて、次いきましょう。

松島先生:……はい。今回は通勤災害の場合です。

 通勤災害は、通勤によって負ったケガ、かかった病気、そのケガ・病気による死亡のことです。通勤による病気とは何のことかと思うかもしれませんが、交通事故で慢性硬膜下出血になった場合とか、タンクローリーが転倒して有害物質が流れ出し、急性中毒にかかった場合などが、通勤による疾病とされます。

 法律で、通勤災害の「通勤」とされるのは次の3つに当てはまる移動です。

・「住居」と「就業の場所」との間の往復

・「就業の場所」から他の「就業の場所」への移動

・単身赴任先「住居」と帰省先「住居」との間の移動

 これら3つの移動を、「就業に関し」「合理的な経路および方法」で行うことが「通勤」とされています。ただし、「業務の性質を有するもの」は除き、さらに「移動の経路を逸脱し、または中断した場合」は、逸脱・中断の間とその後の移動は「通勤」とならないというのが定めです。

田中社長:何のことか、よくわかりませんなあ。

佐藤さん:だから法律ってイヤなんだよなあ。

松島先生:それをわかりやすく伝えるのが、私たち社会保険労務士の仕事でもあります。ともあれ、これらが法律で定める通勤の要件なんですね。3つの要件を満たさないと通勤災害と認められないので、1つずつ見ていきましょう。

●直行直帰の営業担当者はどうなる?

 まず、「就業に関し」というのは、移動が業務と密接な関係を持っていることを指します。たとえいつもの通勤経路でも、出勤日でない日に電車に乗って、災害にあっても通勤とは認められません。

 ただし、たまたま遅刻したり、ラッシュを避けるために早出するなど、ある程度の時間的前後は認められます。単身赴任の場合で、帰省先住居からの移動が通勤と認められるのは、原則として出勤日の前日から出勤日の翌日までの間の移動です。

 ところで、その「住居」とは、就業のための拠点になるところとされています。ですから、自宅が遠いためにアパートを借りて、平日はそこから通勤している場合などは、そのアパートが住居です。早朝の仕事のためにホテルに泊まった場合などは、ホテルがその日の住居になります。

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