「息子はやっていないと信じるしかない」
この女児連続殺傷事件を追い続けてきた元兵庫県警の刑事がいる。
元県警捜査1課の刑事で、現在は警察ジャーナリストの飛松五男氏(80)だ。飛松氏は一連の事件を「瀬戸内・播磨・津山連続女児刺傷事件」と名付け、執念で追いかけてきた。元県警刑事としての憤りと、飛松氏自身が加古川市の隣の姫路市に住まいがあるということもあり、地元での女児の通り魔事件を見過ごすわけにはいかなかった。
18年5月、勝田容疑者が岡山県津山市の女児殺害事件で逮捕されたことをきっかけに、加古川市にある勝田容疑者の両親が住む実家を計3回、訪問した。
「勝田容疑者の両親の家は突き当たりがキッチンになっていて、最初に行った際は、そこに父親が立っていました。その後、母親の案内で隣の部屋に移動しましたが、父親は『腰が悪うて寝とるんや』と言って、すぐにベッドに座り込みました。母親が父親の枕元に椅子を出してくれて、私と勝田容疑者の両親と三角形になるような形で、話しを始めたんです」(飛松氏)
勝田容疑者の両親は2人とも兵庫県警の元警察官だった。
「母親は捜査1課の事務職員でした。実は、私は母親とは同じ職場だったこともあるんです。母親はわりと元気よく話し、『(私も)飛松さんを知っています』と言っていました」(同)
飛松氏が知りたかったのは、柚希さんの事件が起きた当時、息子はどこにいたのかということだった。
「父親も母親も『当時は家におりました』と答えました。父親は『(柚希さんの自宅と)家が近くやから疑われているし、気になっていた。事件からちょっとしてから警察官が来た』と話していました。そして警察官から『息子はどうしていた。仕事は何しとる』と聞かれたが、少しいただけで帰っていったと息子の関与は否定していました」(同)
ただ、両親は息子に事件について問い詰めたことがあったという。
「母親は『柚希ちゃん殺害事件について、息子と話したが、ハッキリ言わなかった。息子はやっていないということを信じるしかないけど、不安はあります』と言っていた」(飛松氏)
当時はたつの市の殺人未遂事件について、防犯カメラに犯人と思われる男が写っており、テレビなどでも報道されていた。それについて問うと、
「母親は『何かテレビでみたことあるけど、ようわからん』と答えました」(飛松氏)