2007年
【月見たし といふ幼な子の 手をとりて 出でたる庭に 月あかくさす】
宮内庁の解説/庭には月が明るく照らしており、妃殿下には内親王殿下とこの月をご一緒にご覧になりながら、つながれたお手のぬくもりに、幼い内親王殿下と過ごされる日々のお幸せを感じられてお詠みになられたお歌でございます。
2008年
【ともさるる 燭の火六つ 願ひこめ 吹きて幼なの 笑みひろがれり】
宮内庁の解説/愛子内親王殿下は、2007年12月に6才のお誕生日をお迎えになられることを大変楽しみになさっていらっしゃいました。このお歌は、お誕生日のお祝いの折り、ケーキに立てられた六本のろうそくの火を吹き消された内親王殿下のお顔に喜びの笑みがひろがっていく様子をお詠みになられたものです。
2009年
【制服の あかきネクタイ 胸にとめ 一年生に 吾子はなりたり】
宮内庁の解説/2008年の春、愛子内親王殿下は、学習院初等科にご入学になりました。 新しい制服に赤いネクタイをおとめになった内親王殿下が、小学生としての新しい一歩を踏み出されることに喜びと深い感慨をお覚えになって、皇太子妃殿下がお詠みになられたお歌です。
愛子さまの誕生の喜びを御歌で披露してから2009年までの8年間、雅子さまは愛子さまの成長の御歌を歌会始に寄せていた。これには「療養中に愛子さまの歌ばかり」との声も上がった。これについて、渡邊みどりさんはこう話す。
「愛子さまの歌が多いことを美智子さまから“もっと広く国民のことを思う歌を詠まなければならない”と雅子さまにご助言があったと、当時の取材で聞いています。家族の幸せばかりでなく、国民全体のことを思って詠まなければならないと、美智子さまが雅子さまの歌の先生を通して、お伝えしたそうです」
そうした状況だったとしても、愛子さまの成長が、母親として純粋に楽しみでならなかったとも思える。数多くある愛子さまを詠んだ御歌の中で、渡邊みどりさんが印象に残っているのは2017年のもの。