10月29日に奥州市文化会館で行われたパブリックビューイングの様子。バルーンを叩きながら大谷選手に声援を送る市民(写真:奥州市提供)
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 50本塁打、50盗塁「50-50」を成し遂げ、ワールドシリーズを制した大谷翔平選手。その出身地・奥州市でも、喜びと祝福の声があがっている。AERA 2024年11月18日号より。

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 2024年は日本国中に大谷狂騒曲が響き渡った。とりわけ出身地である岩手県では、その音量が大きかった。大谷翔平の出身地・奥州市ではドジャースとヤンキースが対戦したワールドシリーズのパブリックビューイングも行われた。

「10月29日に奥州市文化会館で第3戦を観戦し、大谷選手を応援しました」と興奮気味に話すのは奥州市生涯学習スポーツ課の鳥海友紀さん。奥州市ではこれまでもパブリックビューイングを昨年のオールスターゲーム、韓国で開催された今年の開幕戦、そして今年のオールスターゲームと3回開催し、多くの観客と喜びをともにしてきた。

「当初、ワールドシリーズのパブリックビューイングは第3戦の1回だけの予定でした。でも、ドジャースが3連勝したので、市民とともに優勝の瞬間を見届けたいと思い、市役所の大きなテレビで、急遽、4戦と5戦の観戦会を開催しました」と鳥海さんは話す。このパブリックビューイングの模様が「FOX SPORTS」で試合中継の合間に紹介されたこともあり、中継を見ていたアメリカの視聴者たちはドジャースとともに奥州市のファンへも声援を送った。

 市役所でのテレビ観戦会にも多くの観客が詰めかけ、優勝の瞬間を見守った。

「椅子を60脚ほど用意したのですが、150人ほどの人が来庁し、それでは足らず立ち見が出るほどでした」(鳥海さん)

故郷からエールを

 メジャーに挑戦した大谷選手に市民からエールを送り、応援したいと18年に奥州市は奥州市議会、奥州市教育委員会など10の団体で「大谷翔平選手ふるさと応援団」を結成した。

 さらにこの応援団に賛同する市内の商店や郵便局など259団体が「ふるさと応援サポーター」として参加し、大谷選手へエールを送っている。

 テレビ観戦会で優勝の瞬間を見届けた倉成淳奥州市長は「ワールドシリーズ制覇は大谷翔平選手がメジャーリーグ挑戦当初から掲げていた目標で、正に『初志貫徹』であります。シリーズ途中に怪我を負いながらもチームを勝利に導くために指名打者として出場している姿に感動しました」とコメントし、鳥海さんは「これからもけがなく野球を楽しんでほしい」とふるさと応援団の願いを話した。

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岩手から世界の宝に