最終回前からロスを予見するほどファンを獲得したドラマの魅力を、テレビウォッチャーの中村裕一さんはこう話す。
「まず、西島秀俊と内野聖陽という二人の俳優の存在が非常に大きいです。彼らなくしては成立しえないと思うほど、シロさんとケンジという魅力あふれるキャラクターに、俳優として生命を吹き込んでいる。さすがだと思います。
また、ゲイのカップルの日常を描くという時代性も、今の視聴者にマッチしているでしょう。とはいえ、主人公がたまたま男性2人であるだけで、そこに描かれているのは、紛れもない家族の“日常”であり、そこから伝わってくる二人の“絆”に心惹かれるのです」
キッチンやリビングでのシロさんとケンジの何気ない会話は、まさに家族の日常だ。シロさんの作った料理にケンジが「おいし~い!」と言い「ごちそうさま」「ありがとう」と投げかける。
ドラマめしの存在は大きい
ドラマに登場する「食」も多くの人の心に残るドラマのポイントになっていると中村氏は分析する。
「二人の俳優に加え、グルメ要素、いわゆる『ドラマめし』の存在も大きいと私は思います。このドラマを見て、劇中で紹介されたメニューを実際に作って食べてみた人も多いのではないでしょうか。その味が“舌”の記憶と結びつくことによって、作品がより強烈に心に残ることになります」
佳代子さん(田中美佐子)に教えてもらった、チーズ入りナンも手作りしたバターチキンカレー、ジルベール(磯村勇斗)がリクエストしたリコッタパンケーキ……たしかに、ドラマのシーンとともにメニューの記憶も鮮明だ。