これに対し「私もそう思います」と答えていた原田。こうした「二股力」を若い時代にあれほど高いレベルで磨けることは珍しい。角川の親心が生きたかたちだ。
そういえば最近、原田が「The Covers」で松田聖子や竹内まりやを歌ったように「エール」では薬師丸が戦後の焼け跡で賛美歌を独唱して話題になった。ふたりとも「歌う女優」としての持ち味をいかんなく発揮しているわけである。
もちろん、今も映画やドラマの主題歌を主演女優が歌うことはあるが、質量ともに角川三人娘のインパクトを超えるものはない。また「三人娘」などというくくり方もしなくなった。
彼女たちの息の長い活躍は、昭和の芸能界、そしてあの時代の熱気を思い出させるものでもあるのだ。

