街中でもボートマッチングをやっている人は多かった=2024年10月、小山歩撮影
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 終盤戦に差し掛かった衆院選。裏金問題が大きな争点となっているが、有権者が投票する基準はそれだけではないだろう。しかし、候補者がどんな主張をしているのかわからず、だれを選んだらいいのかわからないという人も多いはず。今、そうした人たちと候補者をマッチングする「ボートマッチ」が利用されているようだ。どの候補者の主張と自身の考えがマッチしているのか。一度、試してみるのはいいかもしれないが、専門家は「投票の決め手になってはよろしくない」と警鐘を鳴らす。

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「焦点を当てるべきだと思うテーマが多すぎて、一体誰に投票すればよいのかわからなくなってきて……」

 東京都江東区に住む専業主婦の女性(42)は、戸惑っていた。多くの候補者は「政治とカネ」を争点にあげるが、一番聞きたいのは「子育て支援策」についてだ。

「自分が聞きたい政策などは、メディアが大きく報道する争点にかき消されちゃっている気がしました。もちろんそれも大事だと思いますが、子育て支援策についても聞きたいし。誰に投票するのがいいのかわからない状態です」

 東京都中央区の銀行員の男性(51)も候補者選びで注目したのは、「物価高対策」をどう考えているのかだったが、

「どの候補者も政策の話というより、“自分がいかにクリーンか”を発信しているように感じました。誰に入れても、日本が良い形に変わるイメージがあまり湧かなかったんです」

と話す。投票日は仕事があり、すでに期日前投票を済ませてきたが、直前まで誰に入れるか悩んだという。

 こうした思いを持つ有権者は少なくないだろう。SNSでは、「ボートマッチ、使いやすい。自分の考えとマッチする政治家が簡単にわかる」「自分が知らなかった候補者とマッチした」などと「ボートマッチ」を使った感想をちょくちょく見かける。

 ボートマッチは、主にメディア各社がつくった“マッチング”システムだ。web上でいくつかの設問に答えると、さまざまな政策やテーマについて、自分の考えに近い候補者を知ることができる。国政選挙や知事選などで提供されている。

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発祥の地と異なる日本のボートマッチ