欧州と日本のボートマッチの違いとは

 ボートマッチに詳しい松本正生・埼玉大学名誉教授(政治意識論)によると、ボートマッチが最初に取り入れられたのはヨーロッパだという。

「起源はオランダです。その後、ドイツやベルギー、スイスなどでも導入されました。政党が選挙前に発表している政策集(マニフェスト)にもとづいて、NGOのような第三者機関が主体となってボートマッチを実施しています。各政党の政策と有権者の意見がどうマッチするのか分かる仕組みになっています。日本では、ヨーロッパほどマニフェストがしっかり公表されるわけではないので、各メディアが、選挙のときに実施する『候補者アンケート』をもとに、各党の政策のような形でまとめます。有権者にも同じアンケートに答えてもらって、政党と有権者の一致度を示すようにしたものです」

 松本教授は日本版のボートマッチについてこう説明する。

「ヨーロッパと違い、日本の場合は選挙直前にマニフェストが公表されます。そのため、有権者の“だれに投票するのか”の判断基準が形成されにくい傾向にあります。それぞれの政党がどのような政策を掲げているのかが伝わっていない。そこで判断基準を提供する目的で始まったのです。選挙を身近に感じてもらう、という面においては有用性は高いものがあり、手軽にできることで話題を呼び、スマートフォンやSNSの普及によって加速していきました」

 一方で、課題もあるようだ。

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手軽だが「決め手」になってはいけない?