「政治とカネ」が争点となっている今回の衆院選では、裏金問題に関係した候補者には強い逆風が吹いている。参院から東京7区にくら替えした丸川珠代氏もその一人だ。街頭に立ち、選挙区内の有権者に裏金問題について説明し、必死に訴えかけていると思いきや、丸川氏はむしろ人が集まらないような選挙活動を繰り広げていた。なぜなのか?
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「比例をもらえなかったのは痛い。苦しい戦いとなるのでは」
丸川氏陣営の関係者がそう話す。丸川氏は2018年から5年間、計822万円について政治資金収支報告書への記載がなかった。党からは戒告処分を受け、今回の衆院選では公認を得られたものの、比例代表への重複は認められなかった。
同じ7区には野党の前職や元職も出馬している。厳しい選挙戦で丸川氏がどんな街頭演説をするのか取材しようと、事務所のスタッフに丸川氏のスケジュールを尋ねると、
「一般やメディアの方々には、選挙活動の予定を公表しておりません」
とのこと。理由を聞くと、
「初めての衆院選なのでやり方を考えています。大勢の人を集めて演説などをする選挙区ではないので」
と繰り返すだけだった。
区議「持てる力をぜんぜん出し切れていない」
自民党所属のある港区議がこう説明する。
「選挙妨害を気にしているんです。丸川さん、今回の裏金問題で相当言われているでしょ。メディアにも追っかけられているし」
そのためか、選挙ではアピールが十分に出来ていないという。
「港区には自民と公明合わせて15人の区議がいるので、総動員すれば大きくアピールができます。本来、ほかの候補者に負けるはずがない。裏金問題という逆風が吹いているのにこの選挙手法だと、7区自民党の持てる力をぜんぜん出しきれていない」(港区議)
この区議によれば、丸川氏は平日の場合、一日ごとに港区と渋谷区を回っている。区議の事務所には前日の午後8時くらいまでに、丸川氏の選挙事務所から翌日の予定が送られてくる。「参加できる人がいれば応援をお願いします」とやんわりとした言い方で応援を要請しているという。