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5段分の手ブレ補正のX用超望遠ズームレンズ

 富士フイルムXシリーズのユーザーにとって待望の超望遠ズームの登場である。35mm判換算の画角は152~609mm相当になる。超望遠ズームレンズだが、重量は1375gと軽量なほうで、5段分の手ブレ補正機構もあるため手持ち撮影も容易だ。しかも、防塵・防滴機能も採用しており、屋外撮影でも安心だ。
 開放F値はF4.5~5.6でこのクラスとしては明るく、使い勝手がいい。35mm判用の同画角帯のレンズと大きさや重量、性能で差別化を図り、他社とは異なる存在感をみせるのはフジノンXFレンズに共通したコンセプトでこれは大きく評価したい。
 公表されているMTFのグラフを見ると、超望遠ズームレンズとは思えないほどの高い数値を示している。実写でも焦点距離や絞りf値設定の違いによる性能の変化は、ほとんど感じないほど優秀であった。
 一眼レフふうのX-T1と組み合わせて似合うのはもちろんだが、今回は発売されたばかりのX-Pro2を電子ビューファインダーに切り替えてすべての撮影をした。バランス、使用感ともに快適だった。見た目は似ていてもM型ライカとの違いはこういうところにも表れている。

X-Pro2と組み合わせると、ビゾフレックスなしのライカで超望遠レンズを使う感覚で新鮮。テレ端で手持ちスナップ撮影だが、曇天下でも切れ込みのよい画質をみせる信頼度の高いレンズだ●400mm時・X-Pro2・AE(絞りf5.6・800分の1秒・-0.7補正)・ISO800・AWB・RAW
X-Pro2と組み合わせると、ビゾフレックスなしのライカで超望遠レンズを使う感覚で新鮮。テレ端で手持ちスナップ撮影だが、曇天下でも切れ込みのよい画質をみせる信頼度の高いレンズだ●400mm時・X-Pro2・AE(絞りf5.6・800分の1秒・-0.7補正)・ISO800・AWB・RAW

デザイン
高級感のある仕上げで好印象。フードも深く、効果も十分。三脚座が付属し、別売でアルカスイスのプレートも用意される

使用感・操作感
AFは文句のないスピード。さらにカメラ側のEVFやAF性能が向上すれば一眼レフに匹敵する撮影ができるだろう

描写性
シャープネス、コントラストともに見事な画質。手ブレ補正の効果は抜群で、静止物なら高感度に設定をする必要もないだろう

◆赤城耕一

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●焦点距離・F値:100~400mm・F4.5~5.6●レンズ構成:14群21枚(スーパーEDガラス1枚、EDガラス5枚)●最短撮影距離:1.75m●最大撮影倍率(35mm判換算):0.19倍(テレ端)●画角:16.2~4.1°●フィルター径:φ77mm●大きさ・重さ:φ94.8×210.5mm・1375g(三脚座含まず)●価格:オープン(実売23万7350円)