「自民党、政治とカネの問題、裏金議員だって結局は公認している。クリーンな政治とか言っている公明党も自民党、裏金議員を推薦している」
衆院選初日、大阪府堺市の繁華街で自民党や公明党を批判していたのは日本維新の会の共同代表、大阪府の吉村洋文知事だ。
だが、集まった聴衆はまばらで、拍手もパラパラと起こる程度。維新が議席を大幅に拡大した2021年の衆院選、22年の参院選、23年の統一地方選では、吉村知事が街頭演説をすれば大勢の聴衆で埋め尽くされていたのに、大違いの風景だ。
維新のスタッフに聞いても、
「前に同じ場所でやった時はすごい人で、歩行者の通路を確保するにも一苦労だった。今日とはえらい違いです」
と寂しげに語っていた。
とくに維新の発祥の地・大阪で、その人気はすさまじかった。21年の衆院選では、大阪府内19の小選挙区のうち、公明党候補がいる4選挙区を除く15選挙区すべての小選挙区で自民と維新の候補が対決したが、維新が全勝。ダントツの強さを見せつけた。
今回、維新は公明党候補がいる選挙区含め19選挙区すべてに候補を立てた。そして、維新は10月8日、候補者決定が直前になった9区をのぞく大阪府内18選挙区で、候補の比例重複を見送ることも公表した。小選挙区で敗れたら議席を失う、「背水の陣」で選挙に臨んでいる。
だが、自民党が10月に実施した情勢調査の結果を入手すると、維新が自民や公明の候補を相手に大苦戦していることがわかってきた。
直近の調査によると、19選挙区のうち、6選挙区で与党の自民や公明の候補がリード。1選挙区では立憲民主党候補がリードしていた。他の小選挙区でも、接戦のところが多く、維新の藤田文武幹事長も、自民党候補とデッドヒートの状況だった。