話を先の小津監督の言葉「――夕食をふたりっきりで3度して、それでどうにかならなかったときは、あきらめなさい」に戻します。

 そもそも美味しいものを食べる時はテンションも上がり、うれしい気持ちで満たされるものです。食事の誘いをOKするというのは、相手のことをそれなりに憎からず思っているわけでしょうから、うまくいけばうまくいく気もします。

 ですが、3度目にも相手にその気配が感じられなかったとしたら、やはりあきらめたほうがいいのでは、と思いますね。

 ただ、人間不思議なもので、あきらめた途端、相手に対して変な余裕が出てきます。この余裕が思わぬ展開を招くこともあります。後日、逆に向こうから誘ってきてうまくいったケースもある、と聞いたことがあります。

 押しても駄目なら引いてみな、とはよく言ったものですね。

(近藤勝重:ジャーナリスト、編集者、コラムニスト)

暮らしとモノ班 for promotion
Amazonプライム感謝祭。10月17日からの先行セールで「ダイソン・ルンバ」を手に入れよう!