ただ、「マゼラン・ファンド」において最も注目すべきポイントは、ピーター・リンチ引退後も運用成績が長期的に右肩上がりを描いてきたこと。フィデリティ投信の投信営業部長の堀智文さんは説明する。
「フィデリティの運用の根幹は徹底した企業調査(ボトム・アップ・アプローチ)であり、ピーター・リンチの時代以前から脈々とフィデリティのDNAとして引き継がれてきました」
指数に常勝の投信
もちろん、こうして指数を圧倒するパフォーマンスを達成できるのは全体からすれば一握りの存在にすぎない。指数に勝ち続けるファンドを選び抜くのは難しく、つみたて投資枠のようにコア(中核)に位置づけるべき運用では、オルカンやS&P500に連動するインデックスファンドを選ぶのが定石だ。
知識や経験が乏しい人は、成長投資枠でもオルカンを選ぶのが無難とも言える。ただ、世間では極論が飛び交いがちで、「オルカン一択が共通解、アクティブファンドは無用」との説も唱えられている。
そのような論調について、SBI証券執行役員常務で投資信託部長の上原秀信さんは次のような見解を示す。
「まず、個人的にはオルカンだけでも十分だと思っています。とはいえ、長期のスパンで個人の資産形成について考えた場合、オルカンだけが正しくてアクティブファンドは間違いだとは、けっして言い切れないものです」
つねに指数を上回る実績を達成するのは非常に難しいが、このハードルをクリアしたアクティブファンドも実在している。上原さんが検証したところ、日本株を投資対象とするタイプで、過去1年・3年・5年・10年のトータルリターンがすべて日経平均を凌いでいたのは11本だった(下の表)。「その中でも野村アセットマネジメントの『情報エレクトロニクスファンド』は、10年と1年の運用実績が11本中でトップ、3年・5年でも日経平均を圧倒していました」(上原さん)