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 制度開始から10カ月以上がたつ新NISA投資資金に余裕があるなら、より大きな収益を期待できるアクティブファンドを検討する手もあるのでは。AERA2024年10月21日号より。

【図表を見る】「マゼラン・ファンドの設定来の運用実績とS&P500との比較」はこちら

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 新NISAで設けられたつみたて投資枠の選択肢で圧倒的な人気を誇っているのは、全世界株式(オール・カントリー=オルカン)もしくはS&P500に運用実績が連動するインデックスファンドだ。オルカンは世界(約50カ国)の株式市場の平均的な値動きを示し、S&P500は世界最大の株式市場である米国の代表的な指数である。

 インデックスファンドのメリットは、株式市場の平均的なパフォーマンスを着実に享受できること。これに対し、組み入れ銘柄の選別などによって、指数を上回る運用実績を目指すのがアクティブ型の投資信託だ。

 有言実行で指数を超える運用を達成できるなら、誰もがインデックスファンドではなく、アクティブファンドを選ぶのが正解だろう。だが、現実はシビアで、そのうちの7〜9割は市場平均に勝てない傾向にあるという。運用の巧拙もさることながら、信託報酬(投信保有中のコスト)がインデックスファンドと比べて割高なこともネックだ。

ケタ違いの運用実績

 とはいえ、裏を返せば1〜3割のアクティブファンドは市場平均よりも高い実績を上げているのも事実だ。その典型例として挙げられるのは、世界的な運用会社であるフィデリティ・インベスメンツが1963年に米国で設定した「マゼラン・ファンド」だろう。下のグラフは、設定直後から2024年6月末までの運用実績を示したものだ。

 起点を1として指数化し、S&P500のトータルリターン(指数採用銘柄から得られた配当も加味した数値)と比べている。60年超の歳月を経てS&P500は366倍になったが、「マゼラン・ファンド」は約8085倍というケタ違いの実績を記録した。

 同ファンドは、伝説的なファンドマネージャーと崇められるピーター・リンチが1977〜90年に運用を担当。株価が10倍に化ける銘柄(テンバガー)を発掘し、市場の低迷期も含めて平均年率29%の圧倒的パフォーマンスを達成した。テンバガーという用語も、ピーター・リンチが使い始めたという。

AERA 2024年10月21日号より
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