その話しぶりから、マキタさんがさまざまな努力をしていたことが伝わってくる。実際、マキタさん演じる美容室の店長・三宅は、よくも悪くも「近所にこんな店長いそう」と誰もが思うだろう人物だ。

「そうなんですよ。登場人物がみんな真っ当な人間でしたが、僕の役だけ真っ当ではない、ダメな面もある象徴ではあった。そういう人もいないと息が詰まるじゃないですか。

 お亡くなりになった立川談志師匠が『落語は人間の業の肯定である』と言いましたが、僕もそんな人間の業がなくなったほうがいいとはあんまり思わないタイプ。

 例えば、目の前に美味しい食べ物があったらダイエット中でも食べちゃうとか、だらしないよね、ダメだよね、というのを笑いにしていくようなスタンス。人間の不器用さを面白いよねと思っている人生なんで、三宅祐は、それをそのまんまやればいいんじゃない、その雰囲気を出せたらと思っていました」

撮影現場での「ケンジ」は?

 マキタさん演じる店長と一緒に働くケンジ役、内野聖陽さんの現場での雰囲気はどんな感じだったのだろうか。内野聖陽さんとマキタさんは、「何食べ」が初共演だったという。

「内野さんには、すごく役を作り上げていたり、しっかり演じている印象があった。だから、とても緊張していました。だけど、現場入ってみたら、作り込んでくるというより現場で提示していく方法をとっていました。

 役柄とか、作品全体でのシーンにおける意味合いとかを踏まえて、そういう取り組み方にしたんじゃないかな。完璧すぎるケンジよりも、揺れ動く雰囲気を出す方が役としても、現場としても合ってますからね」

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ケンジとはまるでセッション