世耕弘成氏の立候補会見
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 石破茂首相が10月9日、衆議院を解散し、事実上の選挙戦が始まった。一方で、自民党は同日、裏金問題に関与した衆院議員12人を衆院選で非公認にすることを決定した。総裁選と同様に衆院選でも「政治とカネ」の問題が大きな争点になると見ての判断だ。

【写真】選挙区内で見た世耕弘成氏と二階伸康氏の“ツーショット”

 自民党の閣僚経験者は、
「10月初めに自民党でやった情勢調査で、野党がひとつにまとまれば『政権交代もありうる』という結果でした。その危機感から石破首相は解散・総選挙の直前にもかかわらず、裏金議員の非公認に舵を切った。裏金事件で自民党がどれほど信頼を失ったのか。反発している裏金議員には『お前が言うな』という声が党内でも多く聞かれます。反省が足りない」
 と苦言を呈する。

 そんな状況で、安倍派の大物裏金議員が、参院から衆院へのくら替え立候補を表明し、物議を醸している。

 10月5日、和歌山県田辺市で記者会見し、衆院にくら替えして和歌山2区から立候補すると表明したのは、裏金事件で離党勧告を受けて自民党から去った前参院幹事長の世耕弘成参院議員だ。すでに自民党は同選挙区で、裏金事件の責任を取る形で引退する二階俊博元幹事長の後継として、二階氏の三男、伸康氏を公認しており、保守分裂の選挙となる。

 世耕氏は立候補会見で裏金事件について、
「心から反省していることをお伝えしたい」
 と頭を下げたが、説明責任について問われると、

「記者会見を2回開き、質問が尽きるまでお答えをいたしました。さらに政治倫理審査会にも、私は自ら手を挙げて出席をして質問に答えた。特捜部の捜査にも全面的に協力して、不起訴という結論だった」

 と、説明を果たしてきたと強調した。

「自民党には公認候補と戦った人はたくさんいる」

 世耕氏の会見に先立ち、自民党和歌山県連の中村裕一幹事長は、すでに党公認候補がいるなかでの世耕氏のくら替え出馬の方針を批判して、
「党の公認候補に対抗して立候補することは重大な党規違反に準ずる行為」
 と談話を発表。党本部の森山裕幹事長に、世耕氏が当選しても「復党を承認することはない」という言質を取ったことも明らかにしている。

 これについて会見で問われた世耕氏は、

「自民党本部の幹部の中にも、無所属で公認候補と戦って当選した(のちに自民党入りした)人はたくさんいる。和歌山県にもいらっしゃるのではないか。なによりも有権者の意思が示されることが重要だと思っている」

 と、かつて自民党を離れ保守党などに所属していた二階元幹事長へ当てつけるように話し、将来の復党に自信を見せた。

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「世耕さんはかわいそうや」という有権者も