この記事の写真をすべて見る

フルサイズ用超広角ズームレンズ

 PENTAX K-1の発売に合わせて用意された35mm判フルサイズ対応のDFA超広角ズームである。超広角域15mmをカバーしつつ、テレ端が30mmあることでスナップ用途にも使えるのが特長だ。なお、APS-Cサイズ撮像素子のカメラに装着すると23~46mm相当の画角になる。
 さすがにボリュームがあるが、ホールド時のバランスはなかなかよい。レンズ内には超音波モーターを搭載し、AF作動はスムーズで静粛である。また、指がかりのよい操作リングによりズーミングやMF操作もしやすい。最短撮影距離は全域28センチで超広角域特有の強烈なパースペクティブも生かせるし、テレ側でのスナップ撮影時にも支障がない。
 絞り開放時では周辺部分に光量不足などのあまさが見られるが、絞りf4以降では広い画角において均一な描写。HDコーティングにより逆光にも強く、さまざまな条件において安定した結果が得られた。大きな前玉でフィルターが使えないだけに、前面に施された汚れに強いSPコーティングが効果的であり、安心して使える。
 35mm判フルサイズのK-1登場により、今後拡充されるはずのフルサイズ対応レンズが楽しみになる。


周辺が流れることなく、破綻の少ない描写だ。テレ側になるほど糸巻き型の歪曲が見られるが、ワイド端の15mmではほとんどなく、線はまっすぐに再現される。上質な描写である●15mm時・PENTAX K-1・AE(絞りf4・100分の1秒・-0.3補正)・ISO400・AWB・RAW
周辺が流れることなく、破綻の少ない描写だ。テレ側になるほど糸巻き型の歪曲が見られるが、ワイド端の15mmではほとんどなく、線はまっすぐに再現される。上質な描写である●15mm時・PENTAX K-1・AE(絞りf4・100分の1秒・-0.3補正)・ISO400・AWB・RAW


デザイン
オーソドックスなスタイルでなじみやすい。適度な幅、位置に操作リングも並ぶ。フードは固定式でフィルターは使えない。全体にシーリング処理を施した防滴構造になっている

使用感・操作感
超音波モーター搭載でAF作動はスムーズで快適。同社でおなじみのクイックシフト・フォーカス・システムによりMFへの移行も切り替え操作なしで行え便利。重量級のレンズだが、使い勝手はよい

描写性
絞り開放ではズーム全域で周辺画質にあまさがみられる。テレ側を除いて周辺光量も不足する。絞りf4でほぼ改善し、f5.6ではさらに均一感が増す。鮮鋭で高解像な描写。f8ぐらいまでがピーク

◆竹中隆義

*  *  *
●焦点距離・F値:15~30mm・F2.8●レンズ構成:13群18枚(非球面レンズ3枚、特殊低分散ガラス3枚)●最短撮影距離:0.28m●最大撮影倍率(35mm判換算):0.20倍●画角:111~72°●フィルター径:装着不可●大きさ・重さ:約φ98.5×143.5mm・約1040g●価格:実売21万5870円