(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 今の時代にフィットした生き方や働き方の先にある女性リーダー像って? そんなテーマを掲げて編集長の鎌田倫子が女性リーダーにインタビューする連載。5人目は、ソニー・ミュージックアーティスツ代表取締役執行役員社長の木村麻里子さんにご登場いただいた。ソニーミュージックグループの事業会社で女性の社長は初めて。

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 同社はミュージシャン、俳優などが所属する芸能プロダクションで、職業柄「人間力」は不可欠だ。木村さんは、30代後半で結婚、・出産、育児中にがんの闘病も経験し、今年4月にいまのポジションに。後編は、人生の変化の中で、どのように仕事をしてきたのかうかがった。

〉〉【前編:何百万円もかけたMVがお蔵入り…ソニー・ミュージックアーティスツ 木村麻里子社長の駆け出しの20代】から続く

木村麻里子社長(撮影/写真映像部・上田泰世)

――真摯に仕事に取り組んでこられたと思いますが、プライベートと両立できましたか。ライフイベントと仕事は女性の人生において大きなテーマです。

木村麻里子社長(以下、敬称略):結婚と出産は決して早くないほうでした。人生の分岐点となる結婚や出産は一人でできるものじゃないので、これはね、そういう運命だったのかと思います。「もうすぐ40歳、まずいぞ」って思うころの38歳で結婚し、39歳で出産しました。

 周囲からしたら遅めかもしれませんが、私としてはタイミングがよかった。20代のころは、仕事が中心で友人と会う時間もなかなかないような生活でした。心に余裕もなかったと思います。

40代の育児は、時間の使い方とか、割り切りがうまくできる大人になっていて、非常にやりやすかったのです。

――出産してから働き方は変わりましたか。

木村:わたしは働き方を変えたくなかったんです。できるかどうかは別にして、子どもがいるから変わるというのは私の理想ではなかった。子育て以外にもいろんな事情を抱えている人がいる中で育児だけを特別な理由に考えるのが私の意識にはなかった。自分の育児が理由で周りに迷惑をかけるようになるんだったら、スパンと辞めて仕事を変えた方がいいとも思いました。

 職種的なこともあったと思いますが、時短も使わずに、基本は働き方は変えずにやってきましたね。

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