失職を前に最後の公務を終え、兵庫県庁を後にする斎藤元彦氏=2024年9月27日

 斎藤氏に知事選のことを聞くと、

「今はごあいさつをしているだけです」

 と「事前運動」を警戒してか詳細は語らず。ただ、この日も街頭演説を仕切るのは元維新の西宮市議だ。そして、夜には<前兵庫県知事が緊急生出演...「パワハラ」「告発文書」「PC文書」の真相は?>というネット番組にも出演した。

 都知事選で小池知事に次ぐ、2位に食い込んだ石丸伸二氏が、安芸高田市長時代から出演していた同じチャンネルだ。

 斎藤氏は内部告発の文書について、「誹謗中傷性があるもの」とこれまでと同じ主張を繰り返した。そして元県民局長が「自殺」したとされていることと内部告発との「因果関係」を聞かれると、

「報道では私が死因になっているとありますが、直接、ハラスメントをしたことはない。なぜ亡くなられたのかわからない」

 と元県民局長にさらなる「パワハラ」と思われるような発言もあった。

若者意識のSNS戦略?

 石丸氏の「軍師」として選挙を取り仕切った選挙プランナーの藤川晋之介氏は、

「ネット番組に出てSNSでたくさん投稿、拡散してもらう『石丸方式』という作戦が大きく当たった。斎藤氏も見習っているのかなという印象だ」

 と話した。SNSでは、<斎藤氏が石丸氏と同様に、政治系チャンネルのライターを募集>などとアルバイトの募集をしているという書き込みも目立つ。

 AERA dot.でもアルバイト募集のリクルートサイトを確認したが、SNSで拡散されると、なぜか消えていた。

 大阪府の吉村洋文知事も、SNSへの投稿を選挙戦に取り入れる手法を「石丸方式だ」と絶賛した。2021年の兵庫県知事選のような、自民と維新の推薦といったバックアップはなく、無所属として戦うことを表明している斎藤氏にとって、SNSは大きな「武器」になりそうだ。“失職会見”でも「Z世代のために」と若者を意識した発言を繰り返していた。

 だが、3月に出された内部告発の文書、公益通報の問題は今も県議会の文書問題特別調査委員会(百条委員会)で審議中だ。10月末にも審議が予定されているが「知事選への影響を考慮」として斎藤氏の証人尋問は行わない方針だという。

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