内村光良「内村プロデュース」復活にファンは歓喜!
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 9月28日に放送された『祝! 内村光良還暦祭り 内村プロデュース復活SP!!』(テレビ朝日系)が話題を呼んでいる。この番組は、2000~05年に放送されていた『内村プロデュース』の復活特番である。根強い人気のある番組だったため、久々の復活を喜んでいるファンも多かった。

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 当時この番組に出ていた芸人の中には、のちに冠番組をいくつも持つような売れっ子になった人もいる。さまぁ~ず、有田哲平(くりーむしちゅー)、有吉弘行、バナナマンなどがその代表例である。今回の特番では彼らも若手芸人に混ざって出演していた。

『内村プロデュース』が放送されていた時代は、「お笑い番組冬の時代」だった。ネタ番組も深夜以外ではほとんどなかったし、芸人が純粋に笑いのために何かをやるようなお笑い番組が極端に少なかった。

 そんな中で『内村プロデュース』は貴重な存在だった。プロデューサー役のサングラス姿の内村光良が見守る中、当時の若手芸人たちが体を張ってバカバカしい企画に本気で挑んでいた。そこがお笑いファンに愛されていたのだ。

笑いの方向性は独特

 今回、改めて復活特番を見ていて気付いたのは、たしかに『内村プロデュース』は純粋なお笑い番組ではあるが、その笑いの方向性は少し独特なものである、ということだった。

 今のテレビの笑いの主流はトークとドッキリである。あらかじめ用意したエピソードを披露したり、芸人同士が「あうん」の呼吸で話を進めたりする。あるいは、ドッキリ企画で何も知らされていない芸人がさまざまな目に遭って驚かされ、リアクションを引き出される。

『内村プロデュース』の笑いは、このどちらにも属していない。そこでメインになっているのは「無茶振り」の笑いだ。芸人が大喜利を出題されたり、「◯◯をやってください」と指示されたりして、即興で何か返して笑いを取らなければいけない。

 しかも、じっくり考えるようなものではなく、その場でテンポ良くやり切ることを求められていて、大喜利の「お題」も、あえて大雑把に作られているようなところがある。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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