ツルレイシ、ニガウリの名前でも知られるゴーヤー。
「ゴーヤ」と書かれる場合もありますが、「ゴーヤー」と語尾を伸ばすのが本場・沖縄の発音に近いそう。
九州では「ニガゴリ」「ニガゴイ」「ニガゴウリ」などと呼ばれ、古くから親しまれてきました。
ビタミンCやカリウム、カルシウムなどが豊富なゴーヤー。
初夏を迎えるこれからの季節に、ますます美味しくなる野菜です。
5月8日は「ゴーヤーの日」。チャンプルーだけじゃない、ゴーヤーの魅力をご紹介しましょう。

太陽の光をたっぷり浴びて育つゴーヤー
太陽の光をたっぷり浴びて育つゴーヤー

暑さ厳しい南国の暮らしを支えた、貴重な「夏野菜」

ウリ科ツルレイシ属の植物であるゴーヤー。原産地は、インドやバングラデシュ、インドネシアなどの熱帯アジアです。
果物のレイシ(ライチー)に似たいぼいぼのある実、つる植物であることから「ツルレイシ」の呼び名がつきました。
おなじみの「ゴーヤー」の名前は、「苦瓜」の中国語音(クーグァー)が転訛したという説など、諸説あるようです。
そんなゴーヤーが日本へ伝来したのは、15~16世紀ごろのこと。
17世紀の書物「多識篇」に、「豆留礼伊志(つるれいし)」に関する記述がみられます。
本州では食べる文化はあまり定着せず、もっぱら日除けや観賞用とされたのだとか。
現代でも「緑のカーテン」としてゴーヤーがよく利用されていますね。
海上貿易が盛んだった琉球(沖縄)には、それよりも早くゴーヤーが伝わり、独自のゴーヤー食文化が発達しました。また、九州の各地でも盛んに栽培されました。
その秘密は、ゴーヤーが「高温多湿」や「乾燥」に強いこと。
気候が暑く、夏に収穫できる野菜が少ない地域で、ゴーヤーは貴重な夏野菜として大切にされたのです。
ウリの仲間には「身体の熱をとる」作用があるため、夏バテ対策としてもゴーヤーが歓迎されました。

苦みが気になる方も、好きな人もこれで満足! ゴーヤーの下ごしらえ

●「苦みが気になる」場合は?
ワタ(たねの部分)をキレイに取り去るのがポイント。
さらに「塩をして、しばらく置いてから水気を絞る」または「ゆでて水でさらす」と、苦みをやわらげることができます(塩が多すぎると、水溶性のビタミンが流出してしまうのでご注意を!)。
●「苦みを活かしたい」場合は?
「ワタを多めに残す」「厚めに切る」ことで、ゴーヤー本来の味わいが楽しめます。
だしやスープで時間をかけて「煮込む」、ジュースやドレッシング用に「すりおろす」のも、苦みを引き出すのにおすすめの調理法です。

苦みを楽しむなら「すりおろす」がおすすめ
苦みを楽しむなら「すりおろす」がおすすめ

ワタをとらない? 葉っぱも炒め物に? 世界のゴーヤー料理

インドのアーユルヴェーダでは、ゴーヤーは生薬のひとつ。
疲労回復や老化の防止に効くとされています。ゴーヤーを使った料理もたくさん。いぼいぼの皮をむき、ワタをとらずに調理するのがインド流だとか。
フィリピンでは、ゴーヤーの実だけでなく葉っぱも炒め物などにして食べるそう。
太陽の恵みをいっぱい受けたゴーヤーの葉、きっと栄養たっぷりなのでしょうね。
ちなみにフィリピンには、ゴーヤーと豚肉を炒めてタマゴでとじた、ゴーヤーチャンプルーにそっくりな料理もあるのだとか。
どちらも海上貿易で名をはせた土地、どんな交流があったのか気になります。
ゴーヤー食文化に注目してアジアを眺めると、新しい発見があるかもしれません。
参考:天然生活シリーズ「ゴーヤー バンザイ!」(株式会社地球丸)
藤枝國光・中山美鈴編「ニガウリ(ゴーヤー)の絵本」(社団法人農山漁村文化協

おなじみ、ゴーヤーチャンプルー
おなじみ、ゴーヤーチャンプルー