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確かに、国・地域の分散をするための有力な方法で、過去のパフォーマンスも優良です。そこは否定しません。一方、オール・カントリー・ワールド・インデックスには、投資したくない国の株式も含まれている可能性があります。

 たとえば、一党独裁で、米国から規制を受け、景気鈍化が懸念されている中国にも投資したいと考えますか?(全面的に否定しているわけではありません。念のため)。地政学リスクがある国や地域も含まれます。たとえば、台湾や韓国、イスラエル(イスラエルは先進国に区分されています)も含まれます。過去にはロシアも含まれていました。

 現在、オール・カントリー・ワールド・インデックスで新興国が占める割合は約10%です。世界にはカントリーリスク(*3)のある国や地域があります。投資家の権利が、米国や日本に比べて十分に守られない国もあります。人権が、先進国に比べて十分に守られていない国もあります。あなたが投資したくない国、投資したくないセクター(業種)、投資したくない銘柄(企業)が含まれているかもしれません。

 お金の問題だけではなく、価値観や信念、倫理面の問題のほうが大きくなる方もおられるでしょう。

 また、過去の成績においては、米国企業エース級500社に投資するS&P500に比べると、オール・カントリー・ワールド・インデックスはパフォーマンスが劣後しています(10年のリターンは、S&P500が年率約12%であるのに対し、オール・カントリー・ワールド・インデックスが年率約9%です。いずれも、2024年4月末現在、各指数のファクトシートより)。つまり、この投資対象の広げ方では投資成績を落としているとも取れます(もっとも、将来のことはわかりませんし、過去のこのパフォーマンスでも優良ではあります)。

 そして、オール・カントリー・ワールド・インデックスの最も残念な事実は、2023年以降とても好調である日本株の恩恵がほとんど受けられないということです。日本には優良企業が多くあるにもかかわらず、あまり含まれていないからです(日本の比率はたったの5%ほどです)。日本人なのに自国日本に投資で貢献できない、恩恵を受けられないのは、私にはネガティブです。

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カントリーリスクを避けるには?