さらに言えば、米国企業はワールドワイドに稼ぐ力を持っています。言い換えれば、オール・カントリー・ワールド・インデックスで多くの新興国に網を広げなくとも、米国企業なら有望な新興国へ進出して事業を行う可能性が高いということです。したがいまして、米国株を持っていれば、新興国の成長も取り込むことが期待できるでしょう。
国・地域の分散は大事ですが、カントリーリスクを避けなくてはならず、国分散の内訳(シェア)も慎重に振り分けるべきです。これは投資信託やETFだけではなく、個別株投資でも同様に意識しなくてはいけません。個別株投資であれば、自分で投資先を選ぶため、カントリーリスクを避けることができ、国分散の内訳も自由に決められます。
なお、私にとって米国株の定義は「米国企業の株式」です。米国企業ではない外国企業の株式が米国市場に上場しているので、米国株という認識ですでに投資されている投資家もいらっしゃると思います。実は中国や欧州各国、日本の企業の株式が米国市場に上場しています。これらを「米国株」と認識するのは、私には違和感があります。
例えば、2023年9月にナスダックへ上場を果たして話題になったアームは英国企業です。トヨタ自動車はニューヨーク証券取引所にも上場しています。これらは「米国株」でしょうか? こうして具体例をあげるとわかりやすいと思います。
*1 インフレヘッジ 物価の上昇によって通貨の価値が相対的に減少するリスクを回避すること。
*2 株主還元 会社が営業活動によって獲得した利益を株主に還元すること。具体的には配当を増やす、自社株買いを実施するという方法があります。
*3 カントリーリスク 当該国の政治・経済の状況の変化によって証券市場や為替市場に混乱が生じた場合、当該国に投資した資産の価値が変動する可能性のことをいいます。