投票日前日。首都ヘルシンキではショッピングセンター前の広場に、支持者、有権者、候補者ら多くの人が集まっていた(撮影/高橋有紀)
投票日前日。首都ヘルシンキではショッピングセンター前の広場に、支持者、有権者、候補者ら多くの人が集まっていた(撮影/高橋有紀)

■多額の公共支出に批判

「メディアは年齢や性別、生い立ちを伝えたがるが、それは二次的なこと。大事なのは政治家として何をするか」と就任時に本人が語った通り、フィンランド国民が選挙で争点にしたのも、彼女の属性や人間性などではない。

 他の国々と同様、エネルギー危機と生活費の上昇を喫緊の課題とするフィンランド。今回の選挙戦の争点は「経済」だった。マリン政権は多額の公共支出が批判にさらされ、緊縮財政を訴えた国民連合党に分があった、というのが大方の見方だ。

 今回当選した議員の46%が女性だ。公共放送YLEによると、得票数トップ3が女性で、最も多かったのがフィン人党党首のリイッカ・プッラ氏。2位にサンナ・マリン氏が続いた。

 ジェンダーギャップ指数世界2位を誇るフィンランドで、政治的リーダーを女性が務めるのはもはや日常の風景なのだ。

 今後注目されるのは、国民連合党がどこと連立を組むか、という点だ。マリン内閣は社会民主党、中央党、緑の党、左派連合、スウェーデン人民党の5党の連立政権で党首は全員女性だった。社会民主党が政権を取る前は、中央党、フィン人党、国民連合党による3党連立で政権を担っていた。

 相手が社会民主党になれば右左の連立になるが、最優先課題となる経済政策で対立している。フィン人党との右派連立の可能性も高いが、EU懐疑派で移民規制を訴え、さらに気候変動についても異なった意見を有するフィン人党とどう折り合いをつけるのか、連立協議は難航すると見られている。(ライター・高橋有紀)

AERA 2023年4月17日号

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