
世界最年少で首相に就任し、注目されていたフィンランドのサンナ・マリン首相が率いる与党が総選挙で敗れた。その背景を、現地で取材した記者が報告する。AERA 2023年4月17日号の記事を紹介する。
【写真】投票日前日。首都ヘルシンキにあるショッピングセンターの様子
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選挙前日。フィンランドの首都・ヘルシンキ中心地のショッピングセンター前の広場は多くの人でごった返していた。
ここには「選挙小屋」と言われる各党のブースが集まっている。候補者や党員、サポーターがコーヒーやドーナツなどをふるまいながら、チラシを配り道ゆく人に声を掛ける。カラフルなのぼりが立ち並び、看板が風船でデコレーションされ、まるでお祭りのような雰囲気だ。
■NATO加盟の決断
投票日5日前に締め切られる事前投票で、すでに40%を超える投票率を記録していた。
複数のチラシを手に持っていた若い男性は「投票はもう済ませたんだけど、今日はいろんな人の話を聞けたらと思ってここにきたんだ」と教えてくれた。
2019年に世界最年少34歳で首相に就任し、フィンランドだけでなく世界からも注目を集める女性リーダー、サンナ・マリン氏。昨年にはNATOの加盟申請という重大な決断も行った。
2日の投開票の結果、そのマリン首相率いる中道左派の社会民主党は、中道右派の国民連合党(党首=ペッテリ・オルポ氏)に敗れ、第3党に転落した。
最終的な得票率は国民連合党が20.8%(48議席)、右派でポピュリスト政党のフィン人党が20.1%(46議席)、社会民主党が19.9%(43議席)となった(定数200議席)。
国民連合党のオルポ党首は53歳男性。派手さはなく、各省の大臣を歴任してきたベテラン政治家だ。
一方、黒のレザージャケットが定番服で「ロックスター首相」と呼ばれ、パーティーで踊り騒ぐ動画がリークされ批判にさらされたこともあったマリン首相。選挙戦での敗北の理由に、若さや女性であることの影響はなかったのかと疑問に思う向きもあるだろう。