PTAは過渡期にある。従来型のPTAと、入会届等を整備しようという「改革派」がぶつかりあうこともしばしばだ。時にいじめのような事態も起こりうる。AERA 2024年9月30日号から。
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AERA dot.編集部が行ったアンケートからは、PTA活動のさまざまな「理不尽」「つらさ」が浮かびあがってくる。そもそも、「PTA活動」自体が負荷なのだ。共働き世帯が多数を占め、PTA活動に割く時間のある保護者自体が少ない。
入会届の整備も難しい
一般にPTAの活動はイベントの開催、ベルマークの収集、広報紙の発行のほか、登校時の見守り活動、運動会などの学校行事の手伝いなど、学校と密接に関係するものも少なくない。PTA問題に詳しいライターの大塚玲子さんはこう指摘する。
「『PTAは学校と一体の団体』と勘違いされがちで、子どもの入学時に保護者が強制的に加入させられていても、疑問に思わなかった。学校も『PTAを使う』ことが慣習化してきた」
アンケートには「学校にとってPTAはありがたい存在」という小学校教員(東京都、50代、男性)のコメントもあった。
PTAが任意加入の組織だと知られるようになったのはここ10年ほどだ。「強制加入」が常態化しているPTAは少なくない。アンケートでも62%が、「不加入の選択肢がなかった」と回答した。
「仕事や家事で忙しいのに、勝手にPTAに入れられて、モチベーションが上がるわけがない。『やらされ感』が強いから雰囲気も悪くなる」(大塚さん)
大塚さんは、「入会届の整備は、PTA改革の一丁目一番地」だと指摘する。だが、それすらスムーズにいかないことも多い。PTAは保護者と教師で運営するが、「人手」が減ることをよしとしない役員や教員もいる。
東京都足立区在住のシズカさん(仮名、30代)の子どもが通う保育園でも、PTAの自動加入が常態化していた。そこで、シズカさんはPTA会長になって入退会届を整備した。
すると、古参の役員3世帯を除いて、すべての保護者がPTAを去ってしまった。
「3人は、『こんなのはおかしい』『強制加入に戻すべきだ』と言っていました」