日に日に暖かく、すごしやすい季節になりました。ですが同時に活発化するのが小さな虫たち。近年、蚊の発生時期が前倒し気味になり、他にもコバエやアブラムシ、バクガ、そしてあの黒くてすばやいやつなど。虫が苦手ではない人にも、悩ましい季節ですよね。そんな虫を身近で捕食してくれる生物といえば、ツバメやスズメ、蜘蛛やトンボ、蛙などいくつかいます。殺虫剤などに頼るのも致し方ないとは言え、人体への害もちょっと心配。昔から私たちの身近で害虫を捕食してきた身近な生物についてご紹介します。

アレをやっつけてくれるんならありがたいがご本人たちもたいがいな面々

筆者が両親の実家に行くと、便所や風呂、土間などに、大きな蜘蛛やカマドウマ、ゲジゲジなどを見ました。実はこれらの虫は、ゴキブリの捕食者で、これらの虫を駆除するとゴキブリが増殖することが知られています。ゲジは強い肉食性の多足類の一種で、大型のものはゴキブリの成虫に跳びかかり捕食します。カマドウマもゴミなどを漁りますが肉食性で、ゴキブリにつかみかかって殺します。アシダカグモはもっとも優秀なハンターですが、小型のうちは大きいゴキブリに逆に食べられてしまうこともあるようです。
これらの虫は、小型でもハエや毒蛾などを食べてくれますので、いずれにしても益虫なのですが、問題はこれらの虫自体が恐怖の対象だということですよね。
かといって屋内までツバメやトンボは捕食しに来てはくれませんし、庭にもあまり来ないでしょう。
うまり知られていませんが、人間のごく身近で、ゴキブリを含む害虫を食べてくれる生き物がいます。これから活動が活発になるヤモリ(ニホンヤモリ)です。

超絶キュートなハンター・ヤモリ、知られざる生態とは

仕事や学校からの帰宅途中、街灯に照らされた壁塀になにやらちょっとカメレオンのような生き物がはり付いているのを見かけたことがありませんか?それがヤモリ(守宮、家守、geckos)。有鱗(ゆうりん)目ヤモリ科の爬虫(はちゅう)類です。
日本には島嶼などを含んで2科7属13種のヤモリの仲間が生息しています。そのうち最もポピュラーに見られるのがニホンヤモリ。福島県以南の本州(山形県の一部など東北北部でも一部で生息)、四国、九州、および朝鮮半島南部、中国東部にも生息しています。世界には約670種が知られ、温帯から熱帯にかけて広く分布していますが、寒い地方にはいません。日本でも北海道では見られない、蛇やトカゲ・亀など他の爬虫類よりも寒さに弱く、より熱帯に適応した種類です。体長は成熟した個体で体長12~14センチ、体長の半分を尾が占めます。体色は灰褐色で暗色の不鮮明な斑紋がわずかにあります。目は大きく、ヘビと同様まぶたがなく、透明な鱗で保護されています。

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