僕の場合も、土活をしていた頃に、失業するとかいろんなことが起きましたが、あまり動じないで、淡々と問題を乗り越えられたように思います。「いや、自分、土なんで」という姿勢を持っていられたから。土だからしょうがないよな、雑草だからしょうがないよな、みたいな力の抜け方が年を取るごとに磨かれていくと、それはその人だけのいい持ち味になっていってくれます。
人間たちの生活に、雑草として参加している関係っていうのかな。そう考えるとあなたにしか見えない景色が見えて、自分だけの進路が自然に作られていくはずです。だからぜひ、雑草を先輩とか神様として扱って、過ごしてみてください。
人間が人間以外のものを師にして、全然属性が違うものの力を借り受けるというような感覚は、昔の宗教などにありました。例えば孔雀明王とか。その感覚が今はなくなってきてしまいました。今あらためて、土とか石とか雑草とか自然物を師匠にして学んでみると、人はきっとすごくポテンシャルを開いていけるような気がします。
かに座は、人生のある一時期に「社会勉強とか儀式として頑張らなきゃと思ってこれまでやってきたけど、心の奥底では全く興味がないしめんどくさいことだらけだ、どうしよう」と気づく人が多いです。これはある意味、かに座が成熟していく上で必ず通る道。三年寝太郎のように、いざという時には活躍する人たちなので、それまでは心の故郷を別に持ってダラダラしていていいと思います。
※AERA 2024年9月30日号