一つは、子どもから「僕は友だちの家に呼んでもらっているのに、自分の家には呼べない」と言われたこと。もう一つは、幼稚園からの手紙を整理できていなくて子どもの写真を注文する期限に間に合わなかったことです。
「私はなんでこんなにダメなんだろう」
子どもの頃から自己肯定感が低いタイプ。せめて“片づけられない”“捜し物が多い”という自分を変えたいと思いました。
片づけは、家族6人分の希望や意見を聞きながら大がかりなものになりました。
一番大変だったのは、1階のリビングに近いところにあった長男の部屋を2階に移動したこと。思春期で受験も近づいてくる長男に、落ち着ける空間を作ることができました。もともと長男が使っていた部屋は、昼間は下の2人の子どもたちが遊べる場所に、夜は夫の書斎に変身。
「多目的な部屋になりましたが、限りある部屋数でなるべくみんなの意見を取り入れました」
夫は忙しい仕事の合間に机や本棚を移動するなど、かなり協力的に。裕理さんが頑張って片づけているので、散らかった家に無頓着だった夫も変わり始めたのです。家がきれいになった後は、「会社から帰ってきても疲れないね」とうれしそうに言ってくれました。
子どもたちの成長に伴い、裕理さん家族のライフステージは少しずつ変わっていました。でも、忙しい毎日の中で現実から目をそらし、子どもたちが小さな頃のままの環境で過ごしてきたことにより、暮らしにくさをみんなが感じていたのです。
でも片づけを通して今の生活ときちんと向き合い、家族みんなが納得しながら片づけたので、今はとても快適に過ごせるようになりました。
大きな変化は裕理さん自身にも起こっていました。
「家族にガミガミ言うことがなくなりました。たまに片づけてもすぐに散らかるので、『なんで私ばっかり片づけて……』って当たり散らしていたんだと思います。今は家族がどこに何があるかわかってすぐに戻すので、散らかりません。怒らなくてよくなったんですね」
さらに、片づけは家事の効率化にも役立ちました。