住宅ローン減税やすまい給付金の対象

 広めの物件であれば、住宅ローン減税やすまい給付金の対象になるというメリットも大きい。住宅ローン減税やすまい給付金の対象は、2020年度までは一律に「床面積50平米以上」の住宅だったが、2021年度の税制改正以降は条件つきで「40平米以上」に緩和されている。

 ただし、ここでいう「40平米以上」とは、マンションのパンフレットなどにある専有面積のことではない。登記簿面積のことで、マンションの場合、「壁の内側(内法)」から測った面積のことになる。そのため、専有面積が41平米でも登記簿面積は39平米といったケースもあり、その場合にはローン減税を利用できない。

13年間で最大455万円控除

 ローン減税額は、年末ローン残高の0.7%となるため、初年度の借入残高が3千万円ならその年度は21万円の減税になる。その後はローン残高の減少によって徐々に減税額は減るが、新築住宅の場合、控除期間は13年間あるため、13年間で最大455万円ほどの控除になる。

 登記簿面積40平米以上のマイホームは、20平米台、30平米台の物件に比べると価格は高いが、その分、ローン減税の適用を受けられる場合があるため、増加する負担分もある程度はカバーできる。

万が一働けなくなったら

 単身者がローンを組む際の注意点もある。まず、病気やけがなど、万が一仕事が続けられなくなったときのことも考慮しておきたい。有田さんは言う。

「40歳以上で預貯金が十分ない場合、借りすぎると老後破綻の恐れもあります。あまり預貯金を持たずに頭金なしのフルローンを組もうとする人もいますが、何かが起こってから急いで売却しようとすれば、高値で売れず担保割れにつながる恐れもある。預貯金があれば、ローンでの破綻は防げるので、ローンの支払いとともに貯める癖をつけることが必要です」

賃貸はリスクを老後に先送り

 老後を考え、現役のうちに住まいを購入したいと考える単身者も多いだろう。住宅ローンに詳しい公認会計士の千日太郎さんは、「賃貸なら賃貸の、持ち家なら持ち家を前提としたリスクがある」と指摘する。

 賃貸は「リスクを老後に先送りする選択」と千日さん。定年退職後は毎月の給料がなくなり、年金と貯蓄が生命線になる。「賃貸」暮らしを続けた場合、定年後の収入が大幅に減る状況下で定額の家賃を払い続けなければならない。

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生涯賃金を現役時代に多く配分