田内学(たうち・まなぶ)/1978年生まれ。ゴールドマン・サックス証券を経て社会的金融教育家として講演や執筆活動を行う。著書に『きみのお金は誰のため』、高校の社会科教科書『公共』(共著)など

 お金というのは人と人とが協力し合うために作られたシステムだ(「協力し合うなんて綺麗事だ! お金さえあれば一人で生きていける」と思っている人は、ぜひ札束を持って無人島に行ってみてほしい。お金が燃料以外に使えないことに気づけるだろう)。

 しかし、お金を払えば誰もが協力してくれるわけではない。そう考えるとお金を稼ぐ能力よりも何よりも、協力してくれる仲間を作る能力が最強であることは自明なのだ。

 会社の仲間と協力できるなら、お互いに補い合うことができる。自分の得意な分野を磨いて、不得意なことは他の人に任せられる。すべてのことが中途半端にできる人ばかりいるチームよりもよほど強いチームを作れる。

 出馬会見の中で、小泉氏は日本経済の衰退についても話していた。優秀で勤勉な日本人がたくさんいるのにもかかわらず、世界と勝負できる企業が新しく出てこないのは、出る杭を打つ風潮が強く、失敗が許されない社会にあるのではないか、と。

 国の中にも仲間意識があれば、新しいチャレンジをする会社を叩こうとする人も減るだろう。仮に失敗したとしても、それはチーム日本として、次の挑戦に生かせるはずだからだ。

 この「仲間意識」こそが、日本経済復活に必要なことではないだろうか。

AERA 2024年9月23日号

暮らしとモノ班 for promotion
「昭和レトロ」に続いて熱視線!「平成レトロ」ってなに?「昭和レトロ」との違いは?