”自分いじめ”をやめた

 つまり、セクハラを会社に訴えることも、“自分いじめをやめる”一環だったのだ。

「上司からすれば、『なんだこいつ、人が変わったみたいだな』って感じると思うんですけど、私の中ではつながっているんです。『ラブホテルに行こう』なんてこれまで何度も言われてきたし、前の会社では、接待で体を触られたり、無理やりキスされたりすることもあった。でも、そのときは耐えられていたんです。なのに、どうして今回はこんなにショックを受けているのか、自分でも最初はわからなかったんですよ。だけど、この問題は女性に生まれてきたことが大きいじゃないですか。このままだと自分が可哀想だし、自分を守ってあげられるのは私だけだと思ったんです」

 結局、上司にペナルティーはなく、有希さんはその後、別の出版社へ転職した。この訴えが、女性が男性社会で生きることの困難さを意味しているなど、上司は気付くこともないだろう。

 話し終えた有希さんは、諦めを含んだように笑っていた。

(構成 ライター インベカヲリ★)

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