コップの水があふれた瞬間に

「でも、その上司も可哀想と言えば可哀想なんですよ。今まで私がいろんな男の人にやってきた振る舞いのせいで、セクハラを受けてきて、その怒りが積もりに積もって、コップの水があふれた瞬間にセクハラをしてきたのが、たまたまその上司だったから。もう同じことは繰り返したくないし、一つの区切りにしたいと思ったんですよね」

 有希さんは、体形がほっそりしていて、メイクも服も華やかなタイプだ。話は容姿のことに移った。

「私は目を二重に整形しているし、体重をキープするために下剤をずっと飲んでるんです。それも結局、男性の望みに短期間で無理やり合わせた結果なんですよ」

彼氏がいたほうが「生きやすくなる」

 子どものころの有希さんは、今とは違いふっくらしていたという。親子げんかをすると、よく母親から「デブ」や「ブス」という言葉を投げられた。しかし、高校までは女子校に通っていたので、外見で困ることはなかったという。

「女子同士だと、外見でスクールカーストが決まるわけじゃないし、太っているから友達と会話しづらいなんてことはないじゃないですか。でも、大学に進学してサークルに入ったとき、母の言っていた『デブ』とか『ブス』ってこういうことだったのかと理解しました。見た目が可愛いとか、痩せているとか、“男の人から期待されたものを返す”という生き方のほうが、面倒臭いことが起こらない。彼氏がいないとつらいとかじゃなくて、いたほうが生きやすくなるんです」

日に下剤60錠で内臓はボロボロ

 そこから無理なダイエットを始めたが、絶食だけでは限界がある。大学時代から下剤を飲むことを覚え、毎日60錠飲むことが習慣になった。それが現在まで何年間も続いていたのだ。

「だから、内臓ボロボロ。健康診断で、腸がほぼ動いていないと言われて、病院に通うようになりました。それが1年前くらいかな。20代のころだったら、『それでもいいや』って開き直っていたと思うけど、なんかそのときに、『あんまり自分をいじめないであげよう』って思ったんですよね。だって、内臓が動いてないっておかしいじゃないですか。心臓だって動かなかったら死ぬわけですから」

暮らしとモノ班 for promotion
みんな大好きポテトサラダ!おいしくつくるコツから保存方法までポテサラ豆知識
次のページ
自分いじめをやめる一環